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鏡に映して

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老仙

老仙












おまえさんよ そこの若い人

夜目を通して呼ぶ声がする

辺りに人影は無し と言えども

若い人と言うには気恥ずかしい

わたしですか ご老人様と振り返る

決まっておろうがほかに人はおらんわ


闇の中からボウーっと浮かんでくる

竹の根の杖を持ち 筆の様な髭が垂れている

背丈は五尺に届かない

眼はながい眉毛で隠れている

ゆったり流れるような白衣

着古されていて皮膚の様にさえ見える

立っているのか浮かんでいるのか

かすかな風のように揺れている

わたしは老仙と呼ぶことにした


私をいぶかっているな

老仙は髭の中から声を出す

若い人よ何もかも解っている

姑息な手段にまみれ

人生を短すぎると嘆く

時には人生は長すぎると嘯く

数秒で消える命も

百年の歳月も何の差があろう

人間世界の名誉も富みも砂中の花

風に流され風に沈んで行けば良い

何を思い悩むことがある

時間が次の時間を生む限り

欲が次の欲を生んでいくのだ

そんな意味のない人生で終わるな

わたしの様な旅する者にはそれがわかる

本当の価値を探して歩くものにはそれがわかる


なおも問いつづけようとするわたし

見透かすように老仙は夢のように消えて行った





藍の波

平成三十年六月二十七日
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  1. 2018/06/27(水) 09:15:16|
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