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鏡に映して・分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

付箋

付箋




訪れた心に付箋を貼った

微かに色付けした花びら

太陽の下では何の変哲もなく

月の下では滲むように蒼く

昼も夜も

どの世界にいても

僕のひかりをあててひかる

火垂るのお尻の様に

夜光時計のようにひかる

訪れた人の背中の付箋

やがてくる季節の分かれ目に

人知れず僕の付箋を貼り付ける

残された僅かな付箋を数えて

貼り付けた付箋を偲んでいる





阜可 忠

令和元年八月三十一日
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  1. 2019/08/31(土) 09:11:56|
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忘れ得ぬ花

忘れ得ぬ花




尾根を辿り

湿原をゆく木道

沼の畔に咲く花の

いたいけに見ゆるさま

汗を拭って足を休めれば

はるかにのぞむ紫の

蓼科辺りぬける蒼空

故郷のいろに似ていると

つばびろ帽子が揺れている

花の様な眼差しは

忘れ得ぬ花 ひと夏の








阜可 忠

令和元年八月三十日
  1. 2019/08/30(金) 15:40:26|
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秋想譜

秋想譜





心の中で信州路を歩めば

風に乗せて秋の匂い

情念の深さから放たれて

空の青さにこころを透かし見る

ホテルの窓べに身を寄せては

無言の常念岳に問うている

我が想いの有りようを


君のいるこの地に触れると

ひんやり秋の装いに染まる

想うことは自分のありようと

常念岳に抱かれる哀しみの痕

少しばかり清らかになれる 今

信州の秋にこの身を横たえる





阜可 忠

令和元年八月二十八日
  1. 2019/08/28(水) 23:30:46|
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願い

願い




秋雨前線が列島に絡み付く

大地の怒号 山を削りとり

川までものたうつ大蛇と化す

慣れ親しんだふるさとの山川

ただ茫然と術もなく佇む

人の営みに帰するとしても

ひれ伏す我らの想いよ届け

平穏な日を過ごす願いを






hukatadashi

令和元年八月二十八日
  1. 2019/08/28(水) 21:01:06|
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被災お見舞い

このたびの異常豪雨により被災された方々にお見舞い申し上げます。

予報では今後もなお用心が必要とのことです。

遠地よりですが、被害が小さい事をお祈りします。

くれぐれも御身大切になさってください。




阜可 忠

令和元年八月二十八日
  1. 2019/08/28(水) 20:34:54|
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野辺山の秋

野辺山の秋





ごめんね

有り触れた言葉でしか君を残せない

ごめんね

言葉の蓄え無くて君を詩え切れない


世の中は刺激に充ち溢れているけど

僕は心の一部も表現できないまま

野辺山の落葉松林を想いだしている





hukatadashi

令和元年八月二十七日
  1. 2019/08/27(火) 21:57:25|
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日本橋

日本橋





見かけたら声をかけてください

照れくさそうに片手をあげたら

本当は嬉しくて仕方ないのです

日本橋の交差点でお逢いすることが

万が一にもないことがあったのですから


見かけたら黙ってすれ違ってください

顔を見て言葉を交わしてしまったら

哀しい過去に戻ってしまうから

日本橋の交差点でお逢いすることが

そんな絵空事を信じてしまうから


日本橋の交差点で私を見かけたら

軽く会釈して通り過ぎてください

何事も無かったようなのは哀しすぎます

奇跡の様な出会いをして

明日を見ようとしたことがあったのですから






阜可 忠

令和元年八月二十六日
  1. 2019/08/26(月) 22:26:46|
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夢糸

夢糸





君の手になる繭玉の

ほぐれて絡む指先の

白さゆえに夢に漂う

こころ惑わす夢の糸

移ろう時に紛れては

手繰る他愛無い物語

流して放せぬ夢の糸

痛む胸をきりり括り付け

いずこの静寂に放そうか       




阜可 忠

令和元年八月二十三日
  1. 2019/08/23(金) 22:40:58|
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風の記憶

風の記憶





季節が風に誘われてやってくる

季節の匂いが充ちてくる

風の記憶のかたひらに

描きとめた彩を焼き付けて

離れ離れの想い出を連れてくる

風が消える時間を連れてくる

僕らを次の季節に連れて行く





阜可 忠

令和元年八月二十日
  1. 2019/08/20(火) 19:00:41|
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甲子園

甲子園





何時の間にか燃えてくる

俄か甲子園ファンとなって

応援チームの一投一打に嘆息する

勝ったチームによくやったと言い

負けたチームには泣くなと言う

最善の努力の結果であればこそ

勝があれば負けもある

頂点を支える底辺あればこそ

まだまだ勝負は先の先     




hukatadashi

令和元年八月十八日
  1. 2019/08/18(日) 20:23:22|
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パズル

パズル




僕のパズルが終わらない

最後のピースが見当たらない

時の彼方に紛れてしまったらしい

夥しい数のピースの中の小さな一つ

ぽっかりと白い穴があいたパズル

花柄の想い出を無理に嵌めこんで

僕のパズルを終わらせる



阜可 忠

令和元年八月十八日
  1. 2019/08/18(日) 00:46:45|
  2. | コメント:2

なまけもの

なまけもの





どう呼ばれようと構いません

絶対に走ったりはしません

せこせこと駆け回ってどうします

こんな暑い日はお気に入りの森の奥

木の枝に寝転んで日がな過ごします

時々スコールが降って

ひんやりする森の空気

ウトウトするくらいの快適

大好きな木の葉を少しだけ頂いて

ゆっくりと食んでいます


こんな幸せはありません

何と嘲笑されようが構いません

他人と比較して不幸だと幸せだとか

そんなことにどんな意味がありましょう

お腹を充たす木の葉があれば

わたしは此処で生きていけます

わたしは此処で果てて逝けます







阜可 忠

令和元年八月十七日
  1. 2019/08/17(土) 10:58:40|
  2. | コメント:4

トマトと茄子

トマトと茄子





トマトと茄子が親戚だとは誰が信じようか

トマトのあのさっぱりした食感

トマトは私の大親友だ 

枝豆の次に愛しい存在だ

これさえあれば不幸な人生も明るくなる

トマトと茄子が親戚だとは許せない

茄子紺の衣の下の皮肉屋の顔が嫌いだ

茄子は私の大天敵だ

茄子がなければ食卓は仕合わせで充ちている

家族はみんなそれを知っていて

私に茄子の噂話はしない

私のいない留守に茄子と付き合っている

私を裏切ってまで またそれが許せない

だから夏は半分仕合わせで

だから夏は半分不仕合わせ

いい大人がと言って嗤ってくださるな

本人はいたって真剣

悩み多き夏なのだから






hukatadashi


令和元年八月十日
  1. 2019/08/10(土) 22:07:28|
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都会の花火

都会の花火






花は見えずとも

咲く音で見えるもの

都会の花火は音で見る

ビルの谷間を縫い走る

ビリヤードのように壁に弾かれて

向きを変えては走る音

都会の花火は音ばかり

夜空に想像の花が咲く



hukatadashi

令和元年八月十日
  1. 2019/08/10(土) 00:39:50|
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オンクルさん

オンクルさん





逢った事は無くてもわかる

私の詩の理解者であったから

なかなかの文章家で

クラシック音楽に造詣深く

こよなくフランスを愛していた 多分

にじみ出る教養に裏打ちされたその軌跡

わたしの新しく旧い友人 オンクルさん

ブログで知り合いブログで別れたまま

いまは病床にあると伝え聞くばかり

暑くて長い夜にあなたを想う

その人の名をオンクルさんという





阜可 忠

令和元年八月九日
  1. 2019/08/09(金) 23:14:26|
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アイスキャンデ-売り

アイスキャンデ-売り





街をぬける風のように

黒い自転車がゆっくりとはしる

麦わら帽子 手ぬぐい 真鍮の鐘

アイスキャンデ-の旗をゆらしてはしる

氷いろの蓋を開けると優しい冷気

アイスキャンデ-売りに子供等がはしり寄る

子供好きな親父が笑っている


ゆっくりと動き出すペダル

鐘の音が入道雲を縫いつけて

黒い自転車は次の街へ走る








阜可 忠

令和元年八月九日
  1. 2019/08/09(金) 08:29:18|
  2. | コメント:2

源流

源流





詩をするに読む人の無きは哀しき

詩をする意味はこの地にあらずか

詩をする者の宿命とも知りつつ また

詩作を試みるは愚悔におちると知る

人は言う 花の詩をかくは現実逃避と

人は言う 恋の詩をかくは夢想多くと

人は言う こころを曝け出せば理解の他と

詩をする迷いは沸々とわきあがり

荒野に再び彷徨うごとし

詩を失った日々は恐ろしく連綿と続く

詩をする初心を君は覚えているか

源流を訪ねて分水嶺に至るを







阜可 忠

令和元年八月八日
  1. 2019/08/08(木) 21:42:36|
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月見草

月見草





昼間の熱気が澱む夜

浅い眠りに目覚める時

気配感じて夢から抜ける

窓ガラスがかたかたと微かに

誰かに手招きされているような

涼しい風が私の体を支えてふわり

窓を通り抜けて庭に運ばれる

風の歩むところ掃き清められ

新月の夜に花々の香りつどい

月見草が風をとめて私に手を伸べる

ひんやりした絹の感触がして

薄い黄袖が私の名を呼んでいる

月見草はこの小さな庭の主

従者のベゴニアが厳かに私に伝える

あなたをお呼びしたのは我が主

昼間のお礼を申し上げたいと


昼間のお礼? 私は言葉を反芻した

そういえば思い当たることがある

誰もが辟易とする暑い盛りに

今にも倒れそうな女の人が窓を叩いている

どうかお願いします 冷たいお水を一杯だけ


他に思い当たる節は無い

何も言わないのにベゴニアはそのとおり

お水のお礼に主はあなたを招いたのです

新月の夜 一度だけ人間と逢うことが出来るんです

どうかお受け取りください 細やかなお礼

月見草はそういって黄色い小瓶を差し出す


これは夢なのか 夢に違いない

気が付けば私は自分の寝床にいた

枕元には黄色い小瓶が据わっている

かすかに月見草の匂いが立ち上っている


夜明け前の薄明かりの部屋に







阜可 忠

令和元年八月八日
  1. 2019/08/08(木) 12:08:58|
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夜蓮

夜蓮




池のほとりのあかりに凭れて

花の脈にいろ染め忍ばせる

今ここで抱く君の心

花の影よ水面に墜ちるな

凛としてそのままに咲けばいい

遠くに見える街の灯りが

君の花を貶めようとする

しばしまてよ 

何処に咲いても君は変わらず   



hukatadashi

令和元年八月七日
  1. 2019/08/07(水) 09:12:56|
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原爆の日

原爆の日




今年も暑い夏が来た

百日紅がちろちろ燃えている

あの日は夾竹桃が咲いていたと言う

一瞬で世界が消えた日である

仏の教えもキリスト教徒の信仰も

宗教の高邁な教えも無視した原爆

あらゆる哲学思想の英知も役には立たず

富む人も富まぬ人も大人も子供も

偉い人も偉くない人も

原爆の下には平等で

予見できずに蒸発してしまった

辛うじて免れたひとには途端の苦しみ

人を不幸にするのは悪魔の仕業で無く

人を不幸にするのは人の所業と知る

尋常でないこの夏の暑さの最中

今年も原爆の熱い日がやって来た

今年も原爆の熱い日がやって来た 

黙祷


阜可 忠

令和元年八月六日
  1. 2019/08/06(火) 21:31:17|
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あなたに問う

あなたに問う





詩作の時は幻想曲をかけて

繰り返しめぐりくる言葉

ピアノの音にこころふるわせて

浄化される想いの調べに添うて

詩をあなたにおくりたい

何処にいて何をしているか

ながれる幻想曲に託して

あなたに問うことを許せよ

あなたを知ることを許せよ



阜可 忠

令和元年八月三日
  1. 2019/08/03(土) 18:39:20|
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憧憬

憧憬





夏の夜の徘徊

海を目指してはしる

チマチマした街を離れて

東へ東へと走る

木々が薄明に目覚める頃

道端に腰を下して海を見る

刻々とかわるひかりの加減

深い藍から薄い赤紫へと

蒼空も波も僕を染めている

早起き舟が糸を曳く

昨日と何ら変わらない朝の海

人の心の在りようのままに

朝の海は僕の指の先にとまる







阜可 忠

令和元年八月三日
  1. 2019/08/03(土) 10:13:48|
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いもうとの電話

いもうとの電話





電話の向こうで泣いている

辛い事がいろいろあって

いもうとに何があったのか


いもうとの旦那は私より年が上

足元はおぼつかなくて

しかも認知症が疑われている

脳神経科受診に同行の依頼である


普段は言い合いをする間柄であっても

永いこと私を支えてくれた妹

兄ちゃんが大切だからと言って

わたしの病にこころをくれた妹である


わかった 心配しないでいい

泣かなくていい 力になるから

何処の家族にも起こり得る話

出来るだけの事はしてあげよう

わたしは妹に言った 泣かなくていい


妹は小さな声で お願いします

有難うと言って電話をきった






阜可 忠

令和元年八月朔日
  1. 2019/08/01(木) 20:52:54|
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花しおり

花しおり





夏の永い暑い夜

うすずみ色の花は咲く

幾ら重ねても向こうに透けて

涼しげに揺れている

手折ろうとすれば闇に紛れ

哀しげに睫毛を濡らしていく


読みかけて閉じたページに

挿んだままの花しおり

静寂に舞い降りて それは

うすずみ色の花となる

のこりいろ偲ぶ花となる









阜可 忠

令和元年八月朔日
  1. 2019/08/01(木) 02:52:05|
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