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鏡に映して・分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。









通り過ぎただけの風なら

気にも留めない ありふれた日常

傷つける事も傷つくことも無く

何処に咲く花さえと知らず

こころ委ねる時の流れに


風よ 何故に頬に触れた

風よ 何故に心に吹いた

立ち上がれない程ふきつけて

季節盛りの花を散らして

見知らぬ彼の地に持ち運ぶ


眠れぬままの夜に来て

傷の大きさを気にも留めずに

出逢えてよかっただろうと

人生を生きた証と嘯いて

明日に引きずる夜を置いてゆく



阜可 忠

令和元年六月二十九日
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  1. 2019/06/29(土) 15:45:21|
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おもかげ

おもかげ





苦い思い出も 今となっては

枯葉色の時間に漂うだけで

あったことも なかったことも

願った事も ゆれたこころも

輪郭も色も融け合って

否定と肯定の波に煌めくは

砂浜をかける君のおもかげ




阜可 忠

令和元年六月二十八日
  1. 2019/06/28(金) 19:32:36|
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四十雀

四十雀





上着をお洒落に着こなして

黒のハンチングがよく似合う

四十雀の紳士がやってきた

柿の木の下に舞い降りて

ちょんちょん ちちーとご挨拶

わたしも心の中で いらっしゃい

薔薇のアーチ越しに声かける

紳士は直ぐに飛び立って

梅雨の合間の碧空に消えたやら   





阜可 忠

令和元年六月二十五日
  1. 2019/06/25(火) 22:38:08|
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夜の街

夜の街






心の小さな傷が疼く時

夜の街に何を語るでもなく

薄墨をこの身に纏って歩く


通り過ぎた雨が塵を鎮め

風がわらかく羽を広げて

さあ お乗りなさい

この街の向こうまで

夜の街を彷徨いましょう


眠たげな信号を起こさずに

見えない星を嘆かずに

薄墨を此の体に纏って

夜の街に溶けようと







阜可 忠

令和元年六月二十三日
  1. 2019/06/23(日) 01:23:15|
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しろしか~

しろしか~





梅雨空を見上げてその人は

しろしか~と呟くのか

博多言葉の雨もよう

情景がぼうと浮かびくる

置き換えられないその言葉

一篇の詩を綴るより深く

哀しくも 美しくもあって

長い時間と情が交差するところ





阜可 忠

令和元年六月十七日
  1. 2019/06/17(月) 04:11:57|
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煌びやかな装いの下

ひと通りの花の舞

初心であればこそ美しく

あればあるほど 更に

刹那的な悦楽に酔いしれる

得る物が大きければ

失う物は更に大きく

残酷な舞と知りつつ



阜可 忠

令和元年六月十七日
  1. 2019/06/17(月) 03:29:45|
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老いても

老いても






元気でカラオケを楽しんでいる

脳梗塞で倒れたひととは思えない

会うごとに上手くなっている

羨ましいと言うと からからと笑う

「あんたは若いからいいねえ

わたしはから元気さ

必ずあんたより先に逝くからね」と

とてもそんな風には見えない

僕は笑いながら言う

「先に逝くのはいいけど

淋しくて僕らを呼ばないでね」

彼女はげらげら笑いながら

 「大丈夫 呼びに来やしないよ

  向こうにゃ友達が大勢いるからね」

そうだ 違いない

あっちも楽しそうじゃないか

捨てたもんじゃないようだ




阜可 忠

令和元年六月十五日
  1. 2019/06/15(土) 21:37:43|
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納骨

納骨





なく雨 尽きる無く

昨夜からの雨が強くなる中

従姉の納骨供養に出かけた

開かれたカロートに納まり

従姉は父母兄と再会を果たし

先祖の一員として名を連ねる

幼い頃の姉の様な従姉が浮かんで

雨の中に佇んでいる

さようなら 胸の内で呟いて帰途につく

朽ち葉重なる公園の道

雨は更に激しく地を叩いている





阜可 忠

令和元年六月十五日
  1. 2019/06/15(土) 21:04:01|
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船の灯り

船の灯り







縮緬波の行く先に

闇を裂いて灯台あかり

沖行く船は何処の船か

視界を遮るものは無く

船の灯り瞬きもせずに

黒い影を曳いてゆく

人の心のおもさを乗せて

灯台灯りのその先に





hukatadashi

令和元年六月十四日
  1. 2019/06/14(金) 03:40:19|
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重ね花

重ね花







此処に咲いてくれるを望みながら

遠目にあなたの花を夢に見ていた

あなたの花に似せて薔薇を植えて

棘の先に過ぎた月日を絡ませる

騒ぐこころを薔薇に預けて

遠目にあなたの花を重ねる

決して此の花はあなたに馴染まない

解っている 解っている 不器用な生き方



ふかただし

令和元年六月十三日
  1. 2019/06/13(木) 20:36:00|
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姫物語

姫物語






晴姫 いつも笑い上戸

人もつられて笑みをさす

人に仕合わせ伝えます

ただ一つの欠点は

悲しい事にも笑うて話す

人の涙に添えなくて

本当の友が出来ません


雨姫 いつもなみだ顔

何が哀しくて泣けるのか

わらい話にも涙を浮かべ

辛気臭い姫と嫌われて

たまらず天上から溢れ出る


涙が出るほどうれしいと

あちらこちらに若葉の笑い声

野辺の花まで生き返る

晴姫雨姫 天の姫

人の喜怒哀楽があればこそ







hukatadashi

令和元年六月十二日
  1. 2019/06/12(水) 21:56:55|
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雨のバス

雨のバス





病院を出る頃は雨が酷くなった

冷たい雨が北風にあおられて

バス停に吹き付ける

横殴りの雨に傘が悲鳴を上げている

バスを待つ人はみなお年寄りで

黙って歩み頼りなくバスに乗る

窓ガラスを指で拭けば

雨の中に暮れていく街




阜可 忠

令和元年六月十日
  1. 2019/06/10(月) 21:38:12|
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梅雨嫌い

梅雨嫌い




空を見上げて思案顔の白鷺がひとつ

雨になるな 思うや否や雨が来た

ぽつん ぽつん ぽつん

見る間に幾つも水面に輪が出来る

水中の獲物が見えなくなった

漁にならねえな 雨はますます強くなる

全く嫌な季節が来たもんだ

毎年の事で諦めてはいるが

最近の雨は羽を激しく叩く


帰れ かえれと雨が降る

かえるが けえれけえれと大声上げる

さかなが にんまり にんまり泳いでる

木の葉を滑る雨粒が羽を抜けて肌をさす


ああ もうやってられねえ

仕舞だ 仕舞だ もうやめた

水面を舐めるように白鷺が飛んで行く

なあに 明日には雨も上がるさ 

なぐさめカラスが声かける









阜可 忠

令和元年六月九日
  1. 2019/06/09(日) 18:27:53|
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失の恐怖

失の恐怖




辛いのは別れた時の記憶より

消されていく 記憶

重ねたくちびるの激しさも

その所作の恥じらいも

髪を梳く綺麗な指先も

モノクロフィルムの切れ端に

途切れては消えて行く

自分を形作るものが崩壊していく


恐ろしいのは埋没していく認識 



hukatadashi

令和元年六月七日
  1. 2019/06/07(金) 21:56:37|
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古い万年筆

古い万年筆






幾つも詩を描いた その人の

綴っては破り捨て

描けないもどかしさ 腹立たしさ

稚拙な表現に哭いた

好きで堪らないくせに

猜疑心が万年筆を狂わせる

醜く曲がったペン先

指に馴染んだ古い万年筆

今は何処にあるだろうか

抽斗の隅に身を潜めているか

直されもせず 使われもせずに

万年筆に詫びる  今日の梅雨入り








阜可 忠

令和元年六月七日
  1. 2019/06/07(金) 19:16:31|
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君の薔薇

君の薔薇





墨で描いた薔薇の花

君の想いを流してください

君の色を重ねてください

揺れるたびに君の薔薇が揺れる

墨で描いた薔薇の花

朽ちる事のない永遠

こころ色にその時々を留める




阜可 忠

令和元年六月四日
  1. 2019/06/04(火) 19:49:29|
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歩く

歩く




道は遠く離れていても

時間は遠く離れていても

僕はあなたの言葉を忘れない

言葉に突き動かされ

言葉に癒され心鎮めて歩んできた

道は遠く離れていっても

時間は遠く離れて行っても

こころ鎮めて僕は歩き続けて行く




阜可 忠

令和元年六月四日
  1. 2019/06/04(火) 14:20:51|
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言えなくなる前に

言えなくなる前に




あなたと同じ時代に生まれて

あなたと出逢った事が私の喜び

お互いの針さきの隙間を抜けて

おなじ時間を歩けた事が私の誇り

あなたの所作の全てが私の感動

宇宙の中の有り触れた点にすぎなくとも

代わるものなどこの世にはない

あなたと同じ時代を生きたこと

すべての奇跡と必然に ありがとう

言えなくなる前にありがとう 




阜可 忠

令和元年六月三日
  1. 2019/06/03(月) 21:33:31|
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散薔薇 (さんそうび)

散薔薇 (さんそうび)





黒い土に散りおりて

薔薇の花びらの色模様

蔓の先に朽ちはてるより

触れてこぼれる花模様

あなたの指を透きそめる

朱の薔薇や白い薔薇

明日の空に舞いおりて

あなたに便り書くごとく




         阜可 忠   

         令和元年六月朔日
  1. 2019/06/01(土) 19:36:18|
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過ぎてみれば

過ぎてみれば






遥か彼の地もこの地も

歩いて来れば一本の道

重ねた月日も点の集まり

ふたまた道のわかれみち

あなたは左に私は東に

永久にまみえぬ嵐の街に

涙混じりの磁気嵐

忘れちまいなと渦に巻く

その場限りの命だと

棄てて仕舞えと囁く声もして が

悲しむ親の眼差しに止められた

あれもこれも過ぎてみれば

重ねた月日の夢と涙痕

拭き消せる筈もなく

老いていく指で辿る日々





阜可 忠

令和元年六月朔日
  1. 2019/06/01(土) 07:31:35|
  2. | コメント:2