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鏡に映して・分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

在りよう

在りよう






薔薇の花の色合いは

こころの在りように添うている

豪華に咲けば咲くほどに

何処かに哀しみ隠して咲く

辛い苦しいあの恋の成り行きを

哀しむまいと言い聞かせては

五月の蒼空にこころを預け見る

薔薇の花を投げて挿してみる




阜可 忠

令和元年五月三十日
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  1. 2019/05/30(木) 07:46:00|
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切通し

切通し







古道辿れば切通し

鑿の跡に苔緑

昔の人の息使い

滲みてくるような切通し


切通し抜ければ

あなたの街が見えてくる

古寺を訪ねる人が行く

あなたが生まれた歴史の街よ





               阜可 忠

               令和元年五月二十九日
  1. 2019/05/29(水) 20:53:24|
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花の塔

花の塔





かって此処に花の塔があった

薄れていく記憶の中に確かに

摘んでは差し

さしては積んで

積んでは崩れて

いつの間にか蘇る

高いと言えば雲を突き抜ける程

低いと言えばただそれだけの事


かって此処に花の塔があった

いまは訪れる人の影もない地

朽ちかけた道標が眠っている

申し訳に小さな花を携えれば

それが仕合わせに生きてきた証

道標は指さして教える

あっちに行けばあっちがあると

こっちに行けばこっちがあると





阜可 忠

令和元年五月二十九日
  1. 2019/05/29(水) 00:11:46|
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初夏の朝

初夏の朝





初夏の朝はひかりのさわめき

薔薇の葉を透けてきて

少女のように爽やかに

思い思いの詩を謳っている

少年のようにいたずらで

薔薇の棘にぶらさがり

ひかりのうす衣さいている




阜可 忠

令和元年五月二十七日
  1. 2019/05/27(月) 20:41:34|
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武蔵野

武蔵野





雑木林の小径をゆけば

老いてもこゆる人の名を

しみじみ風がなぞります

短い時間の逢瀬でも

歩みを合わせた此の小径

遠く記憶の彼方に消えもせず

庭石菖の花を教える人の

声に似ている風の囁きよ






阜可 忠          

令和元年五月二十六日
  1. 2019/05/26(日) 07:22:07|
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雨薔薇

雨薔薇



雨を含んだ花びらの重さ

項垂れてこの世の哀れを誘う

髙芯カップ咲きの白い薔薇

想いを告げる間もなく

明日の朝に散ろうとする

躊躇いながら振り向きながら

ひと時の微笑を其処に残して


阜可 忠

令和元年五月二十二日
  1. 2019/05/22(水) 04:38:22|
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匂い残り

匂い残り





二度寝して見る夢は

綿あめのように頼りなく

消えては覚えぬ意識の中に

気だるさ残る匂い花


目覚めて見ゆる窓越しの

薔薇の花の懐かしき

棘の痛さがまだ残る

想い深ければとこしえに 



  
阜可 忠  

令和元年五月二十日
  1. 2019/05/20(月) 10:42:43|
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はなぞの

はなぞの






蒼空の碧さを吸って咲く

はなぞのに咲き乱れる青い花

いまだ空に溶けきれず

初夏の風に誘われゆらゆらと

時の流れを行く舟よ

こころ惑わす匂いを乗せて

想い出ひとつあればよい

辿りつけない夢をみる





阜可 忠  

 令和元年五月二十日
  1. 2019/05/20(月) 10:23:11|
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朝ぼらけ

朝ぼらけ




薔薇の花の扉を優しく叩き

目覚めを促すひかり舞い降りる

深煎り珈琲のかおり身に沁みて

埋め尽くせない時をたどる

無駄に過ごした時の群れに

思い悩みの深き事の見えしも

訪れる人の気配さえなく

人はとうに僕を去りて いま

いま 君は何処を旅する人か

薔薇の匂いに君を偲ぶだけの

こころに抱き寄せる朝ぼらけ









阜可 忠

令和元年五月十八日
  1. 2019/05/18(土) 07:06:11|
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猫の背中

猫の背中






薔薇の花が揺れている

小さな家の窓に初夏が映る

猫の背中に柔らかい光りが滑って行く

触れれば行けそうな気がする

こころなく去った人の

断腸の念を探しに

今の自分なら冷静に出来る

猫の背中に自分を負わせて



阜可 忠        令和元年五月も十五日
  1. 2019/05/15(水) 07:02:00|
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母の日に

母の日に






庭の薔薇を一輪手折って妻に贈る

薔薇の匂いが微かに立ちのぼる

何も買ってあげられないけど

母の日に感謝をこめて

「いつもありがとう」とそえて

お礼に何が欲しいと聞く

薔薇を珈琲の空き瓶にいけながら

「新しいサンダルが欲しい」と言う

妻の欲のない言葉に

長い年月を覚える 母の日








阜可 忠

令和元年五月十二日
  1. 2019/05/12(日) 21:14:36|
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白い翅

白い翅





和紙を千切ったような白い翅

湯船に墜ちて抜け出せないでいる

白い翅を必死にバタバタして

太めの黄色身を帯びた腹をくねらせる

僕は助けもせず感慨もなく眺めていた


漂流する白い客船のように

湯の波にもまれなが

流されて消えて行った白い蛾


僕は冷酷なまでに命を見つめていた

もし 子猫や子犬ならどうする

雀の雛だったらどうする

白い蝶だったらどうする

救いの手を差し伸べるに違いない

まして人の子なら飛び込んで助ける


命は地球より重いと人は言う

僕もそれを信じて生きてきた

なら 白い蛾の命はどうだ

命に軽重があることを知らされた

綺麗ごとですまない命のやり取り

食物連鎖の頂点で僕は生きている

一つの命はかくも 哀しく美しい筈だと








阜可 忠

令和元年五月十一日


  1. 2019/05/11(土) 01:43:40|
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清玲

清玲






白々と夜が明けるころ

薔薇を訪ねる人はまだなくて

記憶を手繰るように花に触れる

目覚めてゆく小さな庭に

ゆっくりと満ちてくる朝の香り

きのうより今日咲く花の美しく

永い夜の闇に抱かれ

想いを胸に秘めて咲く

黄色い薔薇の清玲の新しく     





阜可 忠

令和元年五月十日
  1. 2019/05/10(金) 08:12:08|
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虎は一点を見つめている

黄金と漆黒の縞の輝きは失せていても

毅然と上げた顔は王の面影をとどめている


俊敏さを誇ったしなやかな身体は細く

それでも太い前足は大地を掴んで歩いている

ただ檻の中を行ったり来たりして

王が想いだしているのは走り回った密林

竹林を抜けてくる風の様に自由であった

先祖から受け継いだ栄光の日々

檻を覗くサルの様な生き物を無視して

虎は歩いている

吠える事も 駈ける事も無く

ただ同じところを歩いている

誇り高かった王の目に白い雲

何を言う気にもなれず時は過ぎていく





阜可 忠

令和元年五月八日
  1. 2019/05/08(水) 09:57:07|
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君を偲ぶ

君を偲ぶ






浅からず君との出会いの縁

頭の切れる男 其れは今も変わらない

その君が昨年この世を去った

今年の立冬の頃 訃報を知り驚いている

学校を出てからは殆ど会うことは無く

親交が厚かったわけではなかったが

私の詩集発行を喜んでくれた

切れ味鋭い批評をよせた唯一の男

その君と心を交わすことはもうない

あの時 同窓会に出ろと再三の誘い

何と言われても拒んだ私がいた

それを今でも悔やんでいる


今日君に逢いに行く

こころばかりのお礼の心を持って

今日君に逢いに行く

やっと来るんだな 君の声が聞こえる

ああ行くよ 五月晴れの空の下





阜可 忠

令和元年五月四日
  1. 2019/05/04(土) 08:07:45|
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夜来の雨はあがり

ひかり顕れてさつき空に

風を紡いで東より鳥のむれ

ことほぎの翔を舞う

平安であれと祈る人の集いて

哀しみは昨夜の雨に流し

ひかり迎えるさつきの空に





阜可 忠

令和元年五月朔日
  1. 2019/05/01(水) 09:53:14|
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