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鏡に映して・分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

此の路を行く

此の路を行く



 
 
いまさら何を嘆く
 
怠惰に過ごし此処まで来て
 
いまさら何を嘆く
 
なすことすること中途半端
 
始めは志たかく末路うやむや
 
勝手に壁を創り
 
挫折だと言って甘える
 
何ひとつまとまる筈はない
 
荒唐無稽 行あたりばったり
 
いまさら何を嘆く
 
いまさら変えられる筈はなく
 
此の路をのんびり急いで行くばかり
 
かって知ったる僕だけの道
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月三十一日
 
 
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  1. 2018/01/31(水) 02:19:14|
  2. 壺中の天
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適齢期

適齢期



 
 
有名病院の著名なドクター
 
百余歳まで現役を全うした
 
ドクターの言葉が残っている
 
死が怖い 死ぬことが怖いと
 
沢山の死を診てきたドクター
 
生を知りつくし
 
病を知りつくし
 
百余歳になる人の言葉は
 
他の何物をも圧倒する

凄みをもって迫る
 
人それぞれのいのち
 
生きとおす権利がある
 
蹂躙する事は許されない
 
適齢期は無いものと知れ
 
幾つになっても無念
 
幾つになっても恐怖
 
そういう私は如何なのだろう


 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月三十一日
  1. 2018/01/31(水) 01:55:04|
  2. 壺中の天
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自問

自問


 
 
どちらが君で どれがお前なのか
 
本当は一つなのに僕を惑わす
 
好きかと訊けば
 
決まっていると言う
 
愛しているかと問えば
 
解らないと困り顔する
 
互いの心の中に棲みながら
 
 
どちらが君で どれがお前なのか
 
本当はどちらも君で
 
本当はどれもお前
 
悲嘆にくれる僕に
 
哀憐の情を見せる
 
ごめんねと言って
 
僕をきつく抱きしめる
 
あの日の別れに

 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月三十日
  1. 2018/01/30(火) 21:40:40|
  2. 壺中の天
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冬争い

冬争い


 
 
肩が寒くて目が覚めた
 
布団を肩に引っ張り寄せる
 
足が冷気に投げ出されて震えている
 
布団を足で蹴り下げる
 
上げたり下げたり戦闘開始
 
肩も足も冷たくなって眠れない
 
布団を巡る厳冬の争い
 
取ったり取られたり
 
冷えたり冷えたり痛み分け
 
堪らず起きだして湯を沸かす
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月三十日
  1. 2018/01/30(火) 17:02:17|
  2. 壺中の天
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君恙なく

君恙なく
 
 
君恙なくお過ごしか
 
穏やかにお過ごしか
 
 
底冷えのする都会の
 
青いそらが紫朱に染まり
 
紫青が闇に変わろうとするとき
 
哀しみに悦びに消息を訊き返す
 
 
君恙なくお過ごしか
 
穏やかな日々におられるか
 
君の心の隙間にそっと息を吹きかける
 
 
都会の冬の夜は人を弾いて
 
つんと澄ましているから
 
みんな背を丸め速足であるく
 
人の温もりを探して歩いているのだ
 
 
君恙なくお過ごしか
 
穏やかな夜をお過ごしか
 
ある筈のない応えにせめてもと
 
君の心の隙間に僕の欠片を嵌めてみる
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十九日
 
 
  1. 2018/01/29(月) 22:47:28|
  2. 壺中の天
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呆れる程 見つめて
 
涙腺まで君が塞いだから
 
涙は乾ききって流れない
 
流れてでるのは石英さらさら
 
流れだしたら止まらない
 
慌てて蛇口を締めても止まらない
 
海が埋まっても止まらない
 
さらさらさらさら
 
天の果てまで零れると
 
それが星になると君は言う
 
なるほど
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十八日
 
  1. 2018/01/28(日) 00:27:04|
  2. 壺中の天
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冬の夜は

冬の夜は




 
 
電気ストーブを背中にして
 
キーボードを叩いている

流れているのは
 
ブラームスのチェロ・ソナタ
 
脳を解放して生まれるこんな時間
 
湧いてくるものを文字に変換する
 
この複雑で不思議な作業あれば
 
眠れぬ夜も感謝して過ごせる
 
冬の時間は凝固しようとする
 
キーボードの音でそれが解る
 
緊張したり開放したり
 
快楽に似た大それた創作
 
固まらないうちに逝かないうちに
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十七日
 
  1. 2018/01/27(土) 23:04:09|
  2. 壺中の天
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深川記(八)

深川記(八)




 
 
一通り片付けが終わって
 
板前の新吉が帰り
 
手伝いのお時も帰って行った
 
まだ賑わいの匂いの残る店
 
清治郎を残して鳶の若頭が
 
明日は早いんでと言って店を出る
 
 
清さん 呑みなおそ
 
お恭が隣に座り酒を注ぐ
 
 
お裕がおくれて酌をする
 
すまねえなあ
 

酒飲み冥利
 
男冥利に尽きるというもの

そりゃあそうだ
 
こんなことはめったにない
 
美人姉妹の揃い酒
 
 
何を思い出したのか
 
お裕が もう蕎麦屋はやめた
 
と言い出した
 
聞けば亭主が何も手伝わない
 
自分で始めたくせに遊んでばかり
 
段々口調がきつくなる
 
姉さん わたし別れる あんな奴
 
まあまあと繕うとする清治郎
 
お恭はそれが良い 早いほうがいい
 
あたしは前から反対だった
 
気の強いお裕は涙一つ零さない
 
清治郎に酌を迫ってグイと呑む
 
 
それにしても三人とも酒豪だ

誰も乱れるところがない
 
絡むわけでは無し
 
泣くわけでは無し
 
さっぱりしたものだ
 
 
お恭の三味線でお裕が端唄を唄う
 
お裕の澄んだ声が滲みてくる
 
亡くなった母の厳しい置き土産
 
けりのいいところで三味線を置いて
 
さあ店をしめますよとお恭

店を出ると 藪から棒に
 
やぶからぼうに 梅の花みにいきたい

清さん 聞いてるの
 
向島百花園つれって 
 
清次郎の手を握って放さない
 
お裕も いきましょう
 
行きましようとはやし立てる
 
 
 
 
後で読み返し手を入れます。ご了承を。 

阜可 忠

平成三十年一月二十七日
 
 
  1. 2018/01/27(土) 02:28:52|
  2. 深川記
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ワルツを踊る人

ワルツを踊る人




 
 
ひとの群れから離れて
 
ワルツを踊る人
 
身をしなやかにそらし 身を預け
 
中心軸を捉えて優雅にまわる
 
軽やかに舞う羽毛のような
 
僕はこころ奪われて瞬きも出来ない
 
ワルツを踊るふたりに

 
 
阜可 忠

平成三十年一月二十六日
  1. 2018/01/26(金) 19:19:51|
  2. 壺中の天
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アダモ

アダモ




 
 
こんな寒い朝は
 
アダモを聴いてみる
 
白い椅子の積もった雪に
 
深々と腰を下ろして
 
聴いていると新たに浮かぶ
 
切れ切れの記憶を繋いでいる
 
 
さらさら雪を踏み固めて
 
長い髪にサングラスで座る
 
あれはいつごろのことか
 
うっすらと雪に隠されても
 
白い残像はいつまでも消えない
 
アダモの歌に包まれていると
 
珈琲の湯気の向こうに浮かびくる
 
こみ上げるものを抑えられずに
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十六日
  1. 2018/01/26(金) 10:35:28|
  2. 壺中の天
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寒塊

寒塊



 
 
夜になると更に気温は下がり
 
歓喜も悲嘆も凍りついていく
 
秒針は止まったまま動かない
 
はりついたままのゴンドラ
 
何も見えない万華鏡

 
ぼくは明日が凍らないように
 
おれそうな時間を手繰っては
 
胸に抱いて温めている



阜可 忠
 
平成三十年一月二十五日
  1. 2018/01/25(木) 22:59:28|
  2. 壺中の天
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君の死を悼む

君の死を悼む



 
 
亡くなっていたと伝え聞いた
 
数年前に亡くなったと言う
 
かなり前から運動機能障害の病床
 
寝たきりになっていたという
 
惨めな姿を見せたくないと聞いたから
 
僕は見舞いに行くことは無かった
 
それだけが心に重しを入れたようで
 
辛くてならない
 
 
同期入社の研修会で席を並べた
 
細身の体にぴったりした背広
 
不良じみた仕草と言葉づかい
 
それも嫌味を感じさせない
 
 
君はボクシングをやっていた
 
右を打つときに下がる左ガード
 
試合のたびに僕はガードと声をかけた

君はニヤリとしてリングにあがる
 
その時の君をよく覚えている
 
われわれの青春がそこにある
 
そんな君は旅に出たまま帰らない
 
もう照れ笑いを見る事は出来ない

電話で話すことは出来なくなってしまった

 
君の死を悼む
 
君の死を悼む
 
君の死を悼む
 
君の死を悼む

 
君よ安らかに眠れ
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十五日
 
  1. 2018/01/25(木) 11:04:01|
  2. 壺中の天
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レール

レール


 
 
錆びの出たレールに耳をあてて
 
列車の来る音を聴こうとした
 
吹雪の声だけが泣き叫んでいる
 
 
最終列車は五十年前に出たばかり
 
次の列車は百年後に到着します
 
冷たい声が駅舎に貼り付いている
 
 
君は君で 僕は僕で
 
光太郎千恵子の詩を諳んじる
 
三好達治の短詩を読んでいる
 
 
短い停車時間が崩れていく
 
なんの用もなさない言葉が
 
雪に打たれてレールに墜ちて行く
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十四日
 
  1. 2018/01/24(水) 21:03:37|
  2. 壺中の天
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僕の中の僕

僕の中の僕




 
 
僕は淋しいと言って僕を見る
 
僕の中の僕はもっと淋しくて
 
遠くの星をさがしている
 
昨日と変わらない今日を抱いたまま
 
明日行の汽車に乗れる筈もない
 
僕の中の僕を何処の星に投げようか
 
時間が許すならそこから折り返してきて
 
淋しいと言うお前を抱きしめてみよう



hukatadashi

平成三十年一月二十四日
  1. 2018/01/24(水) 16:37:31|
  2. 壺中の天
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深川記(七)

深川記(七)


 
 
噂をすれば影のたとえ
 
どなたさまも覚えがありましょう
 
だから嫌な奴の噂はしねえ
 
清治郎はそう決めている
 
 
お恭と清治郎の笑いを冷かすように
 
あら 楽しそう
 
随分と仲のいい事
 
言いながらお裕が暖簾を分けてくる
 
やはり噂をすれば影 ちげえねえ
 
 
清さん 先日はどうも
 
清治郎に会釈して お恭の隣にすわる
 
いずれ劣らぬ深川名花が二つ並んだ
 
店が一気に明るくなった
 
とたんに客が来て瞬く間に席が埋まる
 
 
ゆっくりしていって下さいな
 
頼んだよとお裕に言って お恭は席を立つ
 
板前の新吉や手伝いのお時さんもきて
 
お恭はあれこれ頼んでいる
 
十人ほどの客はみんなお馴染
 
なかにはお銚子を運ぶ奴もいる
 
みんな気心知れた良いやつばかり
 
 
こんばんは 清さん久し振り
 
お裕ちゃんも元気そうで
 
そういうのは鳶の若頭
 
まあ いっぱい 
 
互いにすすめたりすすんだり
 
あちらこちらに話の花が咲く
 
暮六っ半になると店も少し落ち着いて
 
そろそろ帰りだす客もいる
 
一人かえり二人減り

店が急に静かになる

 
お恭が酒の後を片し出す
 
お裕も襷をかけてあねさんかぶり
 
卓を拭たりして姉を手伝っている 

 
 
七話はここまで。
お付き合いいただき有難うございます。
文法等は相変わらずのでたらめ。
お許しを。

阜可 忠
 
平成三十年一月二十三日
  1. 2018/01/23(火) 21:57:52|
  2. 深川記
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東京の雪

東京の雪




 
 
来るとも言わず君は訪れ
 
ものさわぐ街を変えて白く
 
喧騒を濾過して沁みていく
 
降り積もる雪よ
 
想いを静寂の奥に隠すな
 
黒と白に縁どられて
 
あらわになる葬り事
 
時間にうめた屍のかけら




阜可 忠
 
平成三十年一月二十三日
  1. 2018/01/23(火) 10:43:23|
  2. 壺中の天
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シクラメン

シクラメン



 
過ぎた夜を飾ってなお
 
いのちおびてたつ焔
 
緋の白鳥か丹頂鶴の嘴か
 
混んだ葉を分ける蕾たち
 
クリスマスの賑わいは
 
この洋花の妖しい誘いか
 
こうして手入れをしていると
 
蕾の健気さに眩暈さえする



阜可 忠
 
平成三十年一月二十二日
  1. 2018/01/22(月) 01:57:28|
  2. 壺中の天
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深川記(六)

深川記(六)
 
 
藍染め暖簾に泳ぐ魚が二つ
 
杉板に小料理と書いて恭とある

 
ごめんよ 清治郎の声にお恭
 
はあい あら 清さんじゃないか
 
久し振り おめでとうと 言いかけて
 
まだ おめでとうでいいのかえ
 
いいんだろう まだ七草だ
 
そうだよね お恭は言いながら
 
清治郎の好きな酒と肴を揃えている

注文を訊かなくても解る
 
勝手知ったる心うち
 
結い上げた髪が細かく揺れている
 
相変わらず綺麗な人だ
 
清治郎がそう思うのには理由が有る
 
深川美人といえばお恭とお裕
 
此の界隈は言うに及ばず
 
大川を渡って日本橋神田まで
 
江戸の町に知らないものは無い
 
ましてお恭は初代ミスゆかた
 
姉妹見たさの八幡様参りと言われたものだ
 
 
まだ清治郎のほかに客は無い
 
お恭が珍しく前にすわり酌をする
 
酒を呑みほして清治郎が漏らした
 
「この間 お裕さんに会ったよ
 
閻魔堂の角で屋台蕎麦屋を
 
名前をきくまで気が付かなかった
 
器量よしはあんたと同じだが」
 
「あら同じなの 清さんはお裕なんだ
 
あたしかと思っていたのに」
 
お恭がすねた振りをする
 
「とんでもねえ 無論お恭さんだ」
 
慌てる清治郎にお恭が笑う
 
つられて清治郎が笑う
 
他愛もないことでふたり揃って初笑い
 
 
 
思いがけず筆はしり過ぎ(六)となりまする
 
話し言葉など時代考証はしていません。何卒ご理解を。
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十二日
  1. 2018/01/22(月) 00:40:22|
  2. 深川記
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深川記(五)

深川記(五)



 
 
七日七草の明六つ 障子に薄明かり
 
竈に火を入れて飯を炊く
 
独り身の清治郎には寒い朝
 
さっと朝食を済ませて
 
紺の股引に印半纏をひっかける
 
さてっと今日から仕事だ
 
清治郎は外に出る
 
源ちゃんと連れ立って冬木町
 
 
木場では老舗の材木問屋
 
旦那の喜一郎が待っている
 
番頭にも挨拶して焚火にあたる
 
おかみさんの白湯で胃の腑を温めて
 
さて川並の仕事が始まる
 
 
堀の丸太にひょいとのる
 
長い竹竿鳶口を器用に操って
 
丸太を外したり泳がせたり
 
また引き寄せて組み直したりする
 
水辺の冬仕事は慣れたものでも辛い

 
喜一郎の丸太の処理は大まか終わった
 
あすは此処から筏を操って
 
石島町の材木問屋に届けるばかり
 
二人が筏を降りたのは昼八つ半
 
 
どうだい 仲町でいっぺえ
 
左指を丸め口に当てて飲む仕草
 
清治郎の誘いに源は首を横に振る
 
すまねえ 子供が風邪ひいているんで
 
大変だなあ 所帯持ちはと呟いて 
 
清治郎は源と別れた
 
 
久しぶりにお恭の店で一杯飲むか
 
八幡様をお参りしてから そう決めて
 
足を速める石畳の清治郎
 
 
 
深川記もどうやら(五)となりまして
お読みくださる方には退屈なされぬか 
今少しのご辛抱をお願いいたしまする
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十一日
 
  1. 2018/01/21(日) 21:41:10|
  2. 深川記
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滅びの美

滅びの美



 
 
雪に埋もれて花の欠片は無くとも
 
綿々とつながる悠久の時
 
その時々を彩り消えた者たちよ
 
哀しみの涙を喜びの涙に替えよ
 
誕生の歓喜あればこそ寂滅を知れ
 
ここに滅びの美を汝に知らせん
 
此処に相応しく雪よ降り積もれ



 
 
阜可 忠

平成三十年一月二十一日
  1. 2018/01/21(日) 15:23:56|
  2. 壺中の天
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光栄です

光栄です



 
 
詰襟が似合う頃 乗り合わせた総武線
 
ガタンと大きく揺れた
 
歳は二十五、六の女性
 
とっさに吊革の僕の二の腕につかまった
 
慌てて ごめんなさいと詫びる
 
どういたしまして 光栄です
 
以前から使う機会を待っていた言葉
 
この子ったらあ
 
女性が大きな声で笑った
 
何事かと周りが僕を見る
 
赤くなって僕は次の駅で降りた
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十日
 
  1. 2018/01/20(土) 11:27:19|
  2. 壺中の天
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うつろい人

うつろい人



 
 
あなたは花尋ね人
 
先がけて花の咲く時を知り
 
季節を開く音を聴きながら
 
花粉に爪を染あげる
 
花を揺らしていく風の様な
 
 
あなたは季節の風を呼ぶ人
 
いち早く風に乗る

名も知らぬ花にも声を掛けながら
 
生まれたばかりの香りを抱きしめる
 
今日のひかり紡いで彼の地に行くような
 
 
あなたは旅をする人
 
花を訪ね風に乗る人
 
幽玄の時を見つめながら
 
ひと休みする 流木の背に
 
永遠を問う うつろい人のような


 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月二十日
  1. 2018/01/20(土) 09:34:51|
  2. 壺中の天
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うつろいごと

うつろいごと



 
 
愛の何たるかを知らない
 
愛は執着と言う人がいる
 
同調するわたしがいる
 
煩悩の海でおぼれたまま
 
愛の何たるかを知る由もない
 
執着がなくなれば愛も消える
 
所詮は男と女のうつろいごとだと
 
哀しすぎると人は言うが






阜可 忠
 
平成三十年一月二十日
  1. 2018/01/20(土) 01:32:35|
  2. 壺中の天
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深川記(四)

深川記(四)


 
 
特にすることもない
 
話し相手がいる訳でもない

四角い部屋を四角に掃いて
 
布団を敷いて横になろうとしたとき
 
おう 清ちゃん けえってきたか
 
声といっしょに引き戸ががたびし
 
筏師の源ちゃんがあがりこんできた

 
木場の旦那からの伝言だと言う
 
明後日 丸太が入るから仕事を頼むと
 
「おめえ 其れで引き受けて来たのか
 
冗談いっちゃいけねえ 七草から仕事だってか 
 
仕事始めは小正月過ぎと決めているんだ」

 
清ちゃん すまねえけど納得しておくんな
 
知らない間じゃなし 断れねえ
 
日頃世話になってる旦那の頼み

 
そう言われてみればその通り
 
怪我した時はおかみさんにも世話になった
 
わかった 明後日だな 引き受けた
 
きまれば話がはやい 
 
部屋のようにさっぱりしてる
 
 
酒でもどうだい 清治郎の誘いに
 
かかあが五月蠅いんでけえるよ
 
源はがたびし引き戸におくられて外に出る
 
 
 
 
 
筆より先に頭が進む
 
手直しが入りましたらご容赦を
 
阜可 忠
 
平成三十年一月十八日
  1. 2018/01/18(木) 13:31:39|
  2. 深川記
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深い雪の夜

深い雪の夜



 
 
こんな深い雪の夜
 
君は何処へ行くのか
 
星のひかりだって雪に埋もれて
 
あえいでいると言うのに
 
こんな深い雪の夜
 
短い言葉を残して行こうとする
 
辺りを照らす灯りはあるか
 
冷たさを遮る羽毛はあるか
 
こんな深い雪の夜
 
君は何処へ向かうのか
 
かけがえのない心に出逢ったか
 
いま此処を発とうとしている君に
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月十七日
 
 
 
  1. 2018/01/17(水) 21:34:26|
  2. 壺中の天
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想像の海

想像の海



 
 
想像の海は埋め立てられて
 
全く予期しないもので溢れている
 
得たものはスープン一杯の珈琲
 
冷めないうちにお飲みよ それでも
 
失せ物の一部でも見つかるから
 
ミルクの渦に過ぎた時間を浮かべて
 
想像の海を探したらいい 急いで
 
時間がどんどん消えて行くよ ほらね



阜可 忠
 
平成三十年一月十六日
  1. 2018/01/16(火) 21:32:52|
  2. 壺中の天
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お知らせ

大層な事ではありません。

深川記を書いているうちに、想像の世界に遊ぶことが
楽しくなりました。

ああしようこう書こうなどと妄想ともいえる想像のふくらみ。
眠れないほどワクワクしたりしています。
こんな気持ちで書き続ける事が出来る程甘くはないのは百も承知。
こりゃもう病かもしれませぬ。

詩とは言えないかもしれませんが、
利便性を考慮し、新たに書庫{深川記」を設けました。
お読み下されば幸甚でございます。

コメントをお残し頂ければ、励みになり、尚幸甚に存じます。
以上お知らせでした。
  1. 2018/01/16(火) 00:59:45|
  2. 深川記
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深川記(三)

深川記(三)
 
 
蕎麦を食って温かくなった
 
お裕を思い浮かべゆらゆら歩く
 
冬木町の弁天様の先を曲がって
 
棟割長屋が清治郎の自宅
 
引き戸が恐ろしく軋んで鳴いた
 
立てつけの悪い古長屋
 
引っ越し時かも知れねえなあ
 
隙間風が酔いを一気にさめさせた
 
行燈明かりに清治郎の影が揺れている
 
印袢纏を壁に掛ける
 
清々しい小ざっぱりした部屋だ



 
 
 
 
何とか清治郎の自宅に着きました。
 
さてあとの筋書きは見当もつきません。
 
悪しからず、お許しを。
 
阜可 忠
 
平成三十年一月十六日
 
  1. 2018/01/16(火) 00:15:51|
  2. 深川記
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宝部屋

宝部屋


 
 
書斎と言うよりは倉庫と言うべきか
 
パソコンとプリンター各一台
 
十四型テレビ一台
 
本箱みっつ
 
棄てられない本
 
その他もろもろの箱が七個
 
日曜大工工具多種多数
 
ひけないくせにテナーサックスや
 
ギター キーボード 尺八など

年代物の真空管ラジオ
 
カセットラジオが三台

集めた銀塩カメラ20台余り
 
天体望遠鏡一台
 
とまあ狭い所にひしめきあっている
 
 
流石に昨年十月一念発起
 
読まない本を始末
 
本箱を移動
 
棚を四方に張り巡らせた
 
少しは片付いたが道半ば
 
全て好奇心故の在庫 
 
まだまだ整理は永遠に続く気配

理想の書斎ははるか先
 
明日は日曜大工の予定
 
 
 
 
 
 
 
 
恥かしい話なので内緒です。
 
阜可 忠
 
平成三十年一月十五日
 
 
  1. 2018/01/15(月) 21:38:41|
  2. 壺中の天
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正月は

正月は



 
 
寒風に掃き清められて
 
蒼空は何処までも正月だ
 
初詣にもいかずゴロゴロして
 
餅だけを食って過ごした
 
 
今年はおせちも七草粥もなし
 
鏡開きのお汁粉もない
 
特別なことは出来ません
 
体の不自由な妻の宣言
 
 
年々侘しくなるなあ
 
お供えも小さくなったし
 
玄関の謹賀新年も寒々しい
 
愉しかったのは娘と孫の来た日
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成三十年一月十四日
  1. 2018/01/14(日) 23:38:11|
  2. 壺中の天
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