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鏡に映して・分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

プライド

プライド



 
 
この身に何があったとしても詩を書く
 
どんなに大きな悲しみが襲い来ようと
 
頭の働くうちは詩を書く
 
こうしていつも乗り切ってきた半生
 
坩堝の中で言葉を熔かして
 
駄作であろうがなかろうが
 
意味があろうがなかろうが
 
命ある限り文字を連ねる
 
それがわたしのプライドらしきもの
 
たかが生まれて死ぬまでの短い時間
 
執着して果てるまでの事
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月二十九日
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  1. 2017/06/29(木) 19:41:23|
  2. 壺中の天
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友を送る

友を送る


 
 
 
雨が降る静かな朝
友は懐かしい自宅に帰ってきた
苦しい闘病生活の末のこと
 
浅い眠りから覚めると
時計は6時を過ぎたばかり
電話がかなしみをつたえてくる
おじちゃん ちゃーくんがお父さんが
友人の娘が涙する
 
友人の人生の前半は笑いに包まれて
後半は少しずつ難病に蝕まれ
ここ十年は寝たきり状態
胃に穴をあけ
喉に穴をあけ
鼻に管をいれて
三回は人工透析
闘病生活の唯一の楽しみは
愛おしい妻の手のあたたかさ
一日も絶やさずの訪問だった
 
自宅に寝かされた友人の穏やかな顔
大柄な体が一段と細くなっている
ちゃーくん笑っているみたい
娘が何気なく言う
確かに微笑んでいるようだ
 
俺よりも七つも若いくせに
俺を追い抜いて逝くことは無いじゃないか
友人はすいません お先に逝きます
冷たいおでこに手をやって友人の顔を見る
お疲れ様 お帰りなさいと声をかけると
穏やかな顔がきまり悪そうに笑った
細かい雨が降る六月二十八日の朝




 
阜可 忠
平成二十九年六月二十九日
  1. 2017/06/29(木) 04:50:19|
  2. 壺中の天
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雨の朝

雨の朝



 
 
浅い眠りから覚める
 
時計は六時を過ぎたばかり
 
電話が悲しみを伝えてくる
 
おじちゃん お父さんが
 
後輩の娘の涙声
 
 
難病に捉われて二十年
 
ここ十年は寝たきり
 
数年前からは胃に直接流動食
 
同時に鼻にチューブ
 
週三回の透析
 
病魔との永い闘いの日々
 
大柄だった体は細くなりながら
 
穏やかな顔つきで家に帰ってきた
 
微笑んでいるようにみえる
 
それが家族のせめてもの救い
 
一日も欠かさず病院に通った妻へ有り難う
 
穏やかな顔が微笑んでいる

お帰りご苦労様
 
声をかけて合掌する
 
静かな雨の降る六月二十八日の朝
 
 
 
 
 
 
阜可 忠 
 
平成二十九年六月二十八日
 
  1. 2017/06/28(水) 23:41:34|
  2. 壺中の天
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言い訳

言い訳




 
 
愚かさを指さされて
 
尚 言い訳を探す愚かさ
 
解っているとしながら
 
そんな無駄を繰り返す
 
私の中の偽善が私を欺こうとする
 
塞ぎきれない心の隙間の欺瞞
 
いやらしく漏れ出して川となり
 
海となりて戯言の波に溺れる私



阜可 忠
 
平成二十九年六月二十七日
  1. 2017/06/27(火) 20:23:55|
  2. 壺中の天
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受けた傷だけを数えてきた

受けた傷の大きさを量ってきた
 
憎しみにつながる想いばかり

それでも今のあなたを好きでいたい
 
それでも今のあなたに嫌われたくない
 
灰色の土塊のはるか下
 
埋めても埋めても蠢いてくる
 
過ぎた日を悔やむ愚かさ
 
与えた傷の深さ数の多さ
 
とうに忘れているならそれで良い





阜可 忠
 
平成二十九年六月二十七日
  1. 2017/06/27(火) 08:58:45|
  2. 登美日抄
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母の団子

母の団子




 
 
生前の母の口癖を思い出す
 
寝付けない夜は尚更に
 
母は団子を食いたいと言う
 
石神井公園の近く
 
お寺からの帰り道
 
小さな店の焼団子
 
醤油の匂いが芳ばしい
 
 
団子を食いたいなあ
 
母の丸い顔が浮かんでくる 
 
わたしも団子を食いたくなる
 
寝付けない夜の街のコンビニへ
 
幸い知り合いの影もない
 
月も星も息を止めている
 
みたらし団子を三串食いながら
 
母のまあるい顔を思い出す
 
あの芳ばしい団子を思い出す



 


他愛も無いお話にお付き合いくださり恐縮です。 

 阜可 忠

平成二十九年六月二十六日
  1. 2017/06/26(月) 21:42:09|
  2. 壺中の天
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悲話

悲話


 
 
命の軽重をたずねる
 
数十万の命を飲み込んだこの日
 
刻まれた名をなぞり離れがたし
 
無謀の果てに朽ちた想いの数々
 
今は探し偲ぶ人も限られて
 
その名を涙で触れるばかり
 
 
晴れ渡った空を飛び交うのは
 
愛し愛する者の別離として
 
美しく語られるべき言葉のみを

どの局もどの時間帯も
 
申し合わせて繰り返しなぞり返すばかり
 
 
七十二年の歳月などいずこに
 
数百万の悲話は朽ちてゆくばかり
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月二十五日
 
  1. 2017/06/25(日) 20:49:34|
  2. 壺中の天
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雅叙園にて

雅叙園にて
 
 
久し振りの東京だから
 
雅叙園の天井絵を見に行きましょう
 
束の間の時間をやりくりして
 
君は東京にやってきた
 
さくら咲き始めたところ
 
歴史の香する百段階段
 
往時をしのばせる想い彩
 
 
僕に何を残せるだろう 
 
自ずから聞きただす
 
何も誇るものもたぬまま
 
此処にいる事の空しさ
 
君は箸を休めて僕を見る
 
「詩を書いて来たじゃない」
 
慰めとも称賛とも取れる言葉
 
永いこと詩をしてきて
 
少し報われた気がする
 
雅叙園に来たことに思い連ねる




阜可 忠
 
平成二十九年六月二十一日
  1. 2017/06/21(水) 10:55:49|
  2. 壺中の天
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バラ色の雨

バラ色の雨




 
 
雲間に咲いたバラは昨夜おそく
 
花びらが湧くように開いて
 
闇の中に薄明かりともしていく
 
空いっぱいに雲の花
 
 
今朝からは雨も降りだし
 
バラは雲間を堕ちてくる
 
バラいろ重ねる様に
 
あなたの唇を濡らす

 
バラ色の雨
 
ばら色の街
 
バラ色のあなた
 
爪の先バラ色に塗らして
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月二十一日
 
 
  1. 2017/06/21(水) 08:18:37|
  2. 登美日抄
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哀しいのは

哀しいのは







 
 
哀しいのは逢えなくなった事ではなく
 
哀しいのはあなたを口説けない事
 
もし もしなどあり得ない話だが
 
なにかの拍子に縁が戻って
 
あなたと再会したとしても
 
気力も体力もみんな涙の様に抜けて
 
哀しいのはあなたを口説けない事
 
口説くには歳をとりすぎてしまった








阜可 忠

平成二十九年六月二十日
  1. 2017/06/20(火) 20:06:37|
  2. 登美日抄
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旅発

旅発



 
 
季節変わりのこの頃には
 
感傷的になって旅に出たいと思う
 
想うだけで実行されることはない
 
雨になるから明日にしよう
 
暑くなるから明日にしよう
 
一日延ばしに夏が過ぎ
 
瞬く間に秋が来て冬が来る
 
寒くなるから春まで待とう
 
そうこうして一年が過ぎる
 
季節は巡り季節は変わる
 
季節を変える雨が降る
 
重ね色した雲に人恋しく
 
明日朝早く旅に出よう
 
感傷のさざ波に溺れて
 
耐えられない孤独を恐れて
 
未だ発てず季節を見送るばかり



 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月十九日
  1. 2017/06/19(月) 19:53:40|
  2. 壺中の天
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田に水が張られると

田に水が張られると




 
 
田に水が張られると夏の空が落ちてくる
 
田に水が張られるとあぜ道が野に線を引く
 
雲も風もみんな逆さまになって
 
一枚の絵の中に納まっている
 
穏やかな風が水面をなでて
 
雲が物憂げに押されていく
 
見えなかった輪郭がはっきりとして
 
明かな陰影の中に僕はいる



 
阜可 忠

平成二十九年六月十七日
  1. 2017/06/17(土) 22:15:08|
  2. 壺中の天
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花苑

花苑


 
 
甘い香りを訪ねて
 
花苑に道を問う
 
夏枯れに応える花はなく
 
遠くの地から香りは来るらしい
 
雲と風がその地を指さして教える
 
花苑に道を問うてはならない
 
こころ捉われて花に迷えば
 
出逢いの末の愛悦も
 
哀しみと苦しさに姿を変える
 
生まれてから死する時まで
 
花の香り沁みこんで尚
 
通り過ぎた雲と風にありがとうと
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月十三日
  1. 2017/06/13(火) 21:04:31|
  2. 登美日抄
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有楽町

有楽町




 
 
降りた途端眩暈しそうな
 
表通りから細い道まで
 
青春の欠片も留めていない
 
今はないデパートの入り口
 
誇らしく君を想い君を待った所
 
煌々と量販店が口を開く変貌
 
作家の講演を聴いたホールも
 
辛うじて名をとどめているだけか
 
 
ひととき 落語に笑い転げ
 
せめての慰めとする
 
与太郎のかぼちゃ売りの寄席話
 
植木職人の長屋のやりとりで爆笑
 
ぽんと出る江戸言葉の懐かしく
 
少しだけ幸せ 久しぶりの有楽町
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月八日
 
  1. 2017/06/08(木) 09:38:33|
  2. 壺中の天
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ダンゴ虫

ダンゴ虫


 
 
するり滑って転がった
 
雨にぬれてころころころり
 
背中を丸めて落ちて弾んだ
 
つるり葉っぱの滑り台
 
庭の石の滝滑り
 
サッカーボールの渓流下り
 
たじろぐ暇なくつるつるり
 
背中丸めた雨模様




阜可 忠
 
平成二十九年六月七日
  1. 2017/06/07(水) 09:43:31|
  2. 壺中の天
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咲く

咲く




 
 
今を咲くのは
 
明日も咲く為
 
永い年月を経て
 
淡い唇を振るわせる
 
季節に背かれたとしても
 
次の時節を耐えて待つ
 
 
今に咲き 明日を見つめ
 
絶える事のない命の継承
 
幽かな風にときめきながら
 
こころを揺らす花たち
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月六日
 
  1. 2017/06/06(火) 10:28:52|
  2. 壺中の天
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夢工房

夢工房



 
 
盛り場の外れの更に片隅
 
裸電球と小さな箱
 
夢工房の女店主の生あくび
 
若いと言えば若い
 
老女と見ればそうも見える
 
 
店主はエメラルドの瞳
 
きらり光らせて客を見る
 
あんた夢を亡くしたね
 
永いこと彷徨っていたものだ
 
でもね 良いからお聞きよ
 
失くした夢を追うのは今限り
 
此処は夢工房
 
好きな夢を創ればいいよ
 
瑪瑙の乳鉢に夢を調合する
 
ほら これがあんたの夢さ
 
何処か記憶の奥の夢が蘇る
 
失くしたんじゃない
 
忘れていただけなのだ
 
 
店主のエメラルドの瞳が
 
こころの奥まで射抜く
 
例えようの無い光りが走る
 
裸電球も女店主も何もない
 
盛り場の喧騒が呼び止める
 
何処をどう歩いて帰宅したのか
 
夢のような夢工房の微かな記憶


 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月四日
  1. 2017/06/04(日) 10:40:11|
  2. 壺中の天
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夏の蝶

夏の蝶




 
 
薔薇の匂い少し残る
 
小さな葉を集めた日陰
 
夏の蝶がじっとしている
 
物思いにふける君あれば
 
細かい網の目に捉えようとする
 
 
ふわり身をひるがえして
 
君は哀しげな眼差し
 
一瞬を舞う匂い残して 
 
陽射しの中に消えて行く
 
なつの蝶 夏のちょう
 
やはりお前はまぼろしか
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月三日
 
 
  1. 2017/06/03(土) 23:18:19|
  2. 登美日抄
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夏到来

夏到来



 
 
夏が来た
 
瓦屋根にまたがって
 
誇らしげに見渡して
 
熱つぶてを投げつける
 
 
夏が来た
 
ビルのガラスに貼りついて
 
ぎらぎら大口あける太陽や
 
入道雲の大きな手
 
皆が存在を主張する
 
 
夏が来た
 
ため息背中に焼き付ける
 
肩にずっしり夏が来た
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十九年六月三日
 
  1. 2017/06/03(土) 22:20:11|
  2. 壺中の天
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通り雨

通り雨



 
 
気分やの雨が降る
 
恨めしくも見つめる
 
濡れた羽の雨宿り
 
軒にスズメが二羽三羽
 
身体をよせてチチと啼く
 
気まぐれ我儘 降る雨よ
 
少女の瞳を濡らすなよ
 
涙に溺れる時あれば



阜可 忠
 
平成二十九年六月二日
  1. 2017/06/02(金) 22:39:39|
  2. 壺中の天
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