鏡に映して・分水嶺に咲く花
いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。
鉄路
鉄路
この鉄路あれば
吹雪の中をひたすら
夜も昼も走り抜けていく
晴れた夜は星座を結ぶ
春の歌の遠からじ
花待つ少女の爪にほんのり
弾ける少年達のひとみに
やわらかなひかり届ける
ホームに佇めば鉄路
意思は固くひたすら
海峡を煌めく波間に
やわらかなひかり集める
阜可 忠
平成二十九年三月三十一日
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2017/03/31(金) 19:23:41
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壺中の天
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この世の事は
この世の事は
逝く冬の鮮やかな記憶
不誠実な春を信じようとする
今を境にして先の事は予測不能
魑魅魍魎の類 人の心に住まいして
純愛さえ数字に置き換えようとする
時に抗するなど意味のないこと
この世の事は全てまぼろしと言う
阜可 忠
平成二十九年三月三十日
2017/03/30(木) 04:17:42
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原発
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春待ち雨
春待ち雨
春を待っているといつも雨になる
透明なやす傘を叩く音がする
猜疑心に揺れ動き
胸をつかれた痛い朝から
別れの雨が降り続く
登りつめた歓びの果て
地に墜ちる雨に責めを負わせる
分水嶺に咲く花はいずこに
春を待たずして朽ちるを赦さずと
三月末の雨に諭される夜
阜可 忠
平成二十九年三月二十六日
2017/03/26(日) 19:29:07
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登美日抄
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春の匂い
春の匂い
振り向けばあなたの匂いして
さくらの花びらに想いする
ひと冬を耐えふた冬を耐え
めくるめく恋に堕ちるような
上野公園のさくらはまだか
都会の喧騒そのままにして
知ったあなたの匂いの優しさ
春になったら来るという人の
阜可 忠
平成二十九年三月二十六日
2017/03/26(日) 00:37:40
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登美日抄
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今を咲け
今を咲け
散るをなげくな
いまは唯 寄り添って咲ける時
同じ時代の真ん中で出逢えた事
たとえ短くとも心燃やすとき
さくら今を咲け
さくら今を咲け
この一瞬あればこそ
はなるるを嘆くな
阜可 忠
平成二十九年三月二十二日 東京開花宣言
2017/03/22(水) 22:25:31
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壺中の天
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花燭台
花燭台
白い木蓮の蕾は
夕暮れに生まれ出でて
音もなく灯を点して歩く
春の夜を濡らすように
いまは黙してあなたの心に
白い木蓮は忍びあしする
白い木蓮の蕾は花燭台として
阜可 忠
平成二十九年三月二十日
2017/03/20(月) 20:05:45
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登美日抄
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東京の桜
東京の桜
春になったら逢いに来い
東京の桜を見たいと言って
何十もある都会の桜名所
喧騒さえもいろにかえ
淡いくちびる染めて咲く
東京の桜の咲くさま
散るも愛しいその仕草
阜可 忠
平成二十九年三月十八日
2017/03/18(土) 23:48:47
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登美日抄
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春景
春景
土手の上の桜並木
早咲きの桜花は時を待たず
行く人の肩に髪に
ゆるりさふぁり想いを告げる
川面を来るまあるい風にのり
春めいた日を配達して歩く
腕を組むふたりにそそぐのは
変わりすぎる時の流れ
変われないあの日そのまま
阜可 忠
平成二十九年三月十七日
2017/03/17(金) 08:28:48
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登美日抄
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立田山
立田山
故郷をあなたに見せたい
君は東京の僕の心に言い残した
此処が故郷 わたしの生まれ育ったところ
上通り下通りの繁華街を歩く
たっぷりあった筈の時が過ぎる
僅かな時間も見逃してはくれない
その残り少ない時間 最後のひと時
立田山にふたり腰を下ろして
ぼんやり街を眺めている
暮れなずむ熊本の街
私の家はあのあたり
きらきら光るのは白川
紫にかすむ阿蘇の山々
小さく震える指先と絞り出す声
明日の別れを予感する
あのまま君を脅してでも
君を僕の背にくくりつけて
東京へ連れて帰ればよかったのに
その頃の若さを悔やんでいる
今ほどの思慮と老獪さがあれば
おざなりの言葉などすてて
君の仕合わせを祈るなどとは言わない
豪快に誘拐してみせる
立田山をそのまま東京に持ってくる
熊本の蒼空をそのままに
阜可 忠
平成二十九年三月十七日
2017/03/17(金) 00:38:59
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登美日抄
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月のひかり 旧友に捧ぐ
月のひかり 旧友に捧ぐ
夢を語らなくなって久しい
怠惰に費やした時間の重さに沈みこむ
夢を落とした記憶もない儘に
当然と言えば当然な成り行き
本当の自分の価値を知らず
お前が棄てた夢の数々
拾い集めて月のひかりに植えてみる
阜可 忠
平成二十九年三月十五日
2017/03/15(水) 16:20:40
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壺中の天
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孤舟
孤舟
震えながら嘯いている
想い出なぞ無用の長物
抱えきれず野に朽ちるだけ
一つあればそれでいい
悟ったようなこと言っては
悶々として今夜も眠れず
煩悩の海に漕ぐでもなく
孤舟 カッチーニに哭く
阜可 忠
平成二十九年三月十五日
2017/03/15(水) 02:56:42
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壺中の天
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忘れない
忘れない
憤りの彼方の深い哀しみは
言葉で癒される筈もなく
忘れない 忘れる筈もない
六年前の地獄
押し寄せて全てを奪い去った狂気
忘れない 忘れられる筈もなく
今ようやく春めいてきても
阜可 忠
平成二十九年三月十一日
2017/03/11(土) 08:22:11
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壺中の天
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刺繍
刺繍
ひと目ひとはり春を掬う
天使が話しかけ
空も雲も花も水も
みんな春になる
刺繍糸のやわらかいあたり
合唱団の澄んだ歌声
ひと針ひと針さすごとに
ひと目ひとめ掬うごとに
やわらかな春の訪れ
阜可 忠
平成二十九年三月十日
2017/03/10(金) 08:24:06
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壺中の天
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雨の病院
雨の病院
煩悩を後生大事に抱いている
それが証拠にバスを乗り継いで病院へ
お洒落な椅子に腰かけて番を待つ
ガラスの壁が物憂げにみえる
何が哀しゅうてガラスを曇らせる
悲しみ隠して曇らせる
煩悩あらわにまいらせる
阜可 忠
平成二十九年三月八日
2017/03/08(水) 01:24:30
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壺中の天
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山
山
絵が描けたら
山の絵を描きたい
呼吸する山を描いてみたい
山を描くことは空を描くこと
空を描くことは雲を描くこと
魅かれる時をとかして
呼吸する山を描いてみたい
阜可 忠
平成二十九年三月八日
2017/03/08(水) 00:39:22
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壺中の天
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花を待つ人
花を待つ人
最初に風が来て
ひとしきり大声立てて行く
次に春告げ鳥来て
春の気配だけ窓に置いて行く
雪解け水に眼をさまし
やがて花たちが踊りだすよと
そのあとに来るひと だーれ
幼い妹の手を曳いて
春のうたを唄っている
花を待つ人に訪れる
どうぞ あなたに春たより
囁くようにはなびら一つ
小さな爪を染めていく
阜可 忠
平成二十九年三月三日
2017/03/03(金) 20:42:52
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壺中の天
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慈雨
慈雨
冷たさを嘆くことはない
薔薇の赤芽膨らんで
露の滲みる早春の朝
雀よ小枝を揺らすな
やわらかく過ぎよ早春の風
水滴の中のそらが墜ちないように
ゆるゆると慈雨に歩みを止めて
阜可 忠
平成二十九年三月二日
2017/03/02(木) 09:22:14
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壺中の天
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