FC2ブログ

鏡に映して・分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

此処

此処









どのくらい此処にいるのだろう

あと少し あと少しだけと言いながら

居心地の良い此処を離れられない

何をそんなに執着するのか

殺伐とした瓦礫に身を横たえて考える

何の答えも出せないまま次の夜明けを待っている

葛藤を押し殺しては地に埋め岩の重しを乗せる

まだまだこの営みは終わる気配も無い




ashinoyukityo
スポンサーサイト



  1. 2016/10/30(日) 00:53:22|
  2. | コメント:0

薔薇を切る

薔薇を切る










台風一過

次の台風の来る前に

伸び放題のつる薔薇を切った

夢のように咲くフランスの詩人

ピエール・ドゥ・ロンサール

天使のように微笑むアンジェラ

健気に咲いて魅了してくれた薔薇

挿し木して根つきを祈り

額の汗を拭く





ashinoyukito
  1. 2016/10/30(日) 00:52:30|
  2. | コメント:0

手のひらの海

手のひらの海




 
 
秋の雨を手のひらで受ける
 
生命線をながれて
 
頭脳線を刻む渓谷
 
運命線を隠してくだる
 
感情線を溢れて
 
手のひらに小さな海を創る
 
誰も訪れることのないこの季節
 
想いだけが冷たく零れていく
 
一枚帆の小舟浮かべて何処に
 
目指すべき船溜まりひとつあるでなく
 
太陽丘に想い偲ぶいくつか
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月三十日
 
 
 
  1. 2016/10/30(日) 00:46:48|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

竹林

竹林









郊外電車の駅で降りると

叔母の家までは子供の足で十分ほど

踏切番のおばさんがハンドルを回す

黄色と黒の竹竿がきしきし上がる

踏切を抜けると庄屋さんの屋敷林

右に不気味な竹藪が続いている

関東大震災ではお袋が非難したという竹林

ゆさゆさ大声で少年を急き立てる

恐ろしさに僕は駆け抜ける

叔母の家明かりが見えてくる


夏になると叔母の家で過ごした

いまは当時の面影も無く

幽霊のように揺れる竹林も無い

水道用水の小川は暗渠になり

季節の流れる音がしてこない

振り返れば臆病な僕がそこにいて

石神井のあの良き時代を思い出している

新しい家並みに隠れて
 
竹の匂いが幽かにしてくる

あのむせ返るような夏の夕暮れに













ashinoyukito
  1. 2016/10/28(金) 12:25:48|
  2. | コメント:0

ポップコーン

ポップコーン









何処で弾けるか

思い思いに飛び跳ねて

鍵盤を叩く白い指のような

何処でも弾ける

ジャイブを踊る二人の様な

どこまでも弾ける

こんな時間を懐かしんで

また一つまた一つ





ashinoyukito
  1. 2016/10/28(金) 12:22:55|
  2. | コメント:0

赤とんぼ

赤とんぼ





 
 
赤とんぼ飛んで来い
 
僕の所に飛んで来い
 
秋の足は早歩き
 
早く来ないと冬になる
 
翅が寒いというのなら
 
碧いお空を掛けましょか
 
 
赤とんぼ早く来い
 
僕の所に早く来い
 
秋の空は気まぐれで
 
すじ雲きたら直に冬
 
早く来ないと雪になる
 
長い尻尾が寒いなら
 
雲のふかふかブーツ作ります
 
 
赤とんぼ飛んで来い
 
僕の所に飛んで来い
 
秋色里山越えてこい
 
網目模様に空を編みこんで
 
大きな頭が寒いなら

目出し帽子をあみましょか
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月二十七日
  1. 2016/10/27(木) 07:58:12|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

雲水

雲水




 
 
再会する倉敷に向かった
 
一年前にわかれた人に
 
最後の逢瀬に夜行列車は走る
 
固い座席に眠れない体を預ける
 
窓外を走る街明かり田園の灯
 
焦点を定めるでもなく眺めていた
 
 
ホームの灯りで目が覚める
 
雲水が前の座席に腰を下ろす
 
年恰好は僕と同じくらい
 
人吉のお寺を継ぐためにと
 
大学を中退して岐阜で修行中
 
その穏やかな口調に惹きつけられて
 
意気投合して一晩中語り明かした
 
宗教 哲学 文学 恋愛 家族 等々
 
 
いつか人吉に来てくれ
 
僕は頷いてきっといつか行くと言い
 
倉敷の駅で互いに手を振った
 
互いの名前も連絡先も訊いていない
 
そう いつか 人吉で それだけでよかった
 
 
合いたい人がいる 人吉の雲水
 
後にも先にもあの安らいだひとときは無い
 
飴色した夜行列車の固い座席
 
再会したら二人は何を話すだろうか
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月二十六日
  1. 2016/10/26(水) 11:22:49|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

夢想

夢想




 
 
ぐいぐいと高度がおちる
 
街並みが住宅地図のように迫る
 
高層ビルをかすめて旋回するジャンボ機
 
此のまま地の底に墜ちてめがけていく
 
愛だの未練だの金があるのないの
 
幸せだろうが無かろうが
 
一瞬のうちに平等に消える
 
 
異国の夜は裸電球の露店
 
雑然として物思いを拒んでいる
 
あの翼がビルをケーキのように切ったら
 
ぼくはどうしていただろう
 
恐れおののく暇もなく
 
肉片になってそこらに転がっているか
 
くだらない煩悩から解放され
 
生きている意味を考える事もない 無
 
報道に僕の名前を発見して君は驚く
 
ほんの一瞬だけ 

時間を共有する僕はいないのだ                        
 



阜可 忠
 
平成二十八年十月二十六日
  1. 2016/10/26(水) 09:29:23|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

小さな脈動

小さな脈動









ねえ 頑張らないよわたし

あちらに揺ら揺ら

こちらにふらふら

風がわたしのともだち

もう 頑張ることを止めたんだ

なおさら 君には頑張れとは言えない

君の頑張り知っているから

頑張れとは言えない

赤い血の溢れる重さを知っているから

風に流され 水に流されても

いのちの小さな脈動あれば

頑張らなくても恐れずに終われる







ashinoyukito
  1. 2016/10/24(月) 21:12:12|
  2. | コメント:0

真夏の第九

真夏の第九










念願の第九をきいた

厳かにチューニングが始まる

小鳥の目覚めの様な

悠然と行く大きな翼のような

やわらかく時に激しく

演奏に魅せられて涙が溢れてくる

深く 尊く 真夏の第九

合唱する人の清らかに

指揮する人の神々しさに

魅せられておちていく

たとえば田園をいくように

哲学の道を歩むように

この感動を誰に伝えようか






ahinoyukito
  1. 2016/10/24(月) 21:08:39|
  2. | コメント:0

コキアの丘

コキアの丘




 
 
空に引き込まれていく道
 
ゆるやかな坂を自転車が降りてくる
 
少女たちの囀りが聞こえてくる
 
何処から来たの 
 
坂の向こうから
 
何処に行くの 
 
紅葉のコキアの丘まで
 
 
空が道を引き上げる
 
坂の向こうに空がある
 
歌うように揺れている道
 
少女たちの笑い声が聞こえる
 
この坂を越えてもう少し
 
なだらかなコキアの丘
 
紅葉が風を染めている
 
少女たちの声を染めている


 
 
nemo2様のブログ記事に触発されてイメージさせていただきました。。
 
阜可 忠
 
平成28年十月二十三日
  1. 2016/10/23(日) 10:16:37|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

口説き

口説き









もう君を口説けない

口説くには歳を取り過ぎて

口説きの言葉はとうに忘れた

詩をあつく語ったあの頃

きみに哀しくなるほど惚れて

きみを抱きしめた言葉の全て

きみの髪を飾った花の輪に

季節の風が永久の彩染めていく


そんな昔語りを訊く人も無く

行き場のない言葉がおちてゆく

青揚羽ひゃうひゃう舞うように

もうあなたを口説けない

口説くには時がたち過ぎて

口説きの文句は干からびて

ひゃうひゃう枯れて舞うばかり





ashinoyukito

平成二十八年八月二十日
  1. 2016/10/21(金) 23:55:15|
  2. | コメント:0

雷鳴

雷鳴









食い合わせが悪いのか

手当たり次第に雲を食して

シャシーゴロゴロ下り落ちる

腹の中に雷雲沸き充ちて

閃光に切り刻まれて堕ちる

光龍と雲龍と雨龍かさなる

雲水の声明ひびくように




ashinoyukito

平成二十八年八月十八日
  1. 2016/10/21(金) 23:52:46|
  2. | コメント:0

酔芙蓉残影

酔芙蓉残影






 
 
街の夜の輪郭の角が取れてきて
 
朝の冷気が滲みてくる時
 
草に宿る露の転がる音がする
 
昨日より今日は秋らしく
 
まだ街の焦点の定まらぬ朝
 
学校の植え込みに探してみる
 
あれは何時の事 あの花の行方 
 
このあたり おぼろげな記憶に 
 
咲き姿のみ愛おしく残り

曖昧が確信となり
 
酔芙蓉だったと思いこむ
 
冷気をつれて歩く秋の朝
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月二十一日
 
  1. 2016/10/21(金) 23:43:51|
  2. 登美日抄
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

あみだくじ

あみだくじ









明日を思い煩うことは無い

深山に消えたあこがれも

時が過ぎればただの幻

一も無く 千も無く

愛などひとときの思い込み

揺ら揺ら揺らぐ夏の日の

額の汗のしょっぱさ加減

記憶の隅に苦さを残すだけ



明日を思い煩う事は無い

眠れぬ夜は眠れぬままに

これまで何とかやってきた

これからだってなるようになるさ

自分できめたあみだくじ

何処を曲がっても今日になる

明日を思い煩う事は無い



ashinoyukito
  1. 2016/10/18(火) 01:48:45|
  2. | コメント:0

ヨットハーバー

ヨットハーバー




 
 
西日が弾かれて煌めく
 
雲を揺らすさざ波
 
マストの林を抜けてくる青い空
 
植栽で囲われた内湾の向こうに
 
高層ビルの群れが浮かんでいる
 
音の無い油絵の中にいるようで
 
止まりそうな時間が息をしている



 
 
阜可 忠

平成二十八年十月十八日
  1. 2016/10/18(火) 01:43:04|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4












手に取れば乾いた音がする

ポテトチップスの様な蛾の翅

硬直した足が空を放さない

枯れるように訪れる死

最後に感じるものは何か

花の無い庭の花の香り

誘蛾灯の甘い幻想

弔うものは誰も無し





ashinoyukito
  1. 2016/10/17(月) 09:13:15|
  2. | コメント:0

夜に

夜に
 
 
新たな出来事も無く
 
一日が過ぎようとする
 
昼間はダンス仲間と過ごし
 
踊れない僕はダンス曲を頼まれる
 
切々とした思いの詞に
 
自分を重ねて歌ってみたりする
 
 
新たな出来事も無く
 
一日が過ぎていく
 
それはそれで喜ぶべきことに違いなく
 
喧騒の鎮まる夜の静寂
 
寂しさが薄墨の中に流れ出す
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月十六日
 
 
 
  1. 2016/10/16(日) 00:50:10|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

時計

時計









煙草の重さ確かめるように

煙草で時計のガラスを叩く

貴方のその仕草が好きで

いつも頬杖して眺めていた

ライターをシャリリと言わせて

煙たそうに眼を細めけむを吐く

天井にミルク色のガラス笠

白熱灯の下に揺らりけむる影

わたしの好きな油彩の中に

詩を書くあなたを描いている

あなたの色に重ねてみたい

私の好きな水の色

素直になればわかる事

此の儘消えずに揺れていて

けむりの香り消えないで

時計よ時を刻まずに

明日が来ないようにと哭いていて







ashinoyukito
  1. 2016/10/15(土) 22:25:04|
  2. | コメント:0

裏漉し

裏漉し




 
 
日常を裏漉ししたら現れる
 
通り抜けるきめの細かい時間の中に
 
墨流しの様に干渉縞がゆらめいて
 
紛れていた真理が透けてくる
 
こころの襞を染めぬいて
 
今の今を生きてみる
 
裏漉ししながら日常を


 
 
阜可 忠

平成二十八年十月十五日
  1. 2016/10/15(土) 01:33:33|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

熱い芋

熱い芋





 
 
じゃが芋の煮転がしを食った
 
出来立ての熱い奴を口の中へ
 
あつあっつっ はふあふあっふふ
 
なかなか喉におりてくれない
 
はき出そうにもうまく出てくれない
 
むりやり食道に送り込む
 
ただれるような熱さが伝わって行く
 
あわてて水を流し込む 痛い
 
ひりひりとしてつばも飲めない

連れ合いがゲラゲラ笑う

がっつくからだよと


これでは自慢の声は出せない
 
数日はじっと我慢の日々だ
 
おのれ にっくきは熱い芋

おのれ憎きは妻の笑い声
 
 
 
 
お読みになった皆様へ。
芋の煮転がしの美味しい召し上がり方は、
冷めてから食べるにかぎります。
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月十四日
  1. 2016/10/14(金) 14:43:00|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:9

夕暮れ

夕暮れ









寂しさは秋の夕暮れでなく

暑さが滲みている夏の夕暮れ

まだ日のあるの浜辺を歩くとき

赤い波に打ち寄せられる屍たち

それぞれの夢の消え残り

砂に刻まれた誓いの哀れ

忘れらられた剥き出しの肩


寂しいのは秋の夕暮れでなく

繰り返される意味もないこと柄

放りりだされた孤独達

なにを生むでもなく堕ちてゆく

まだ暮れなずむ夏の夕暮れ

あなたの声がする波間に

孤独をひとつ流してみよう




ashinoyukito

平成二十八年八月十四日
  1. 2016/10/14(金) 14:11:38|
  2. | コメント:0

散髪

散髪











夕暮れともなると

一瞬の風が路地を通りくる

暑気の重なる僅かな隙間

額の汗を拭いながら

取り戻す生きている感覚

ぼんやりと思う

明日こそは散髪に行こうと





ahinoyukito
平成二十八年八月十三日
  1. 2016/10/14(金) 14:09:41|
  2. | コメント:0

ときめき

ときめき




 
 
この季節に訪れるもの
 
生あるものの情のあわれ
 
何にときめくか問う人に応える
 
一味もふた味も違う 若い頃とは
 
寄り添うでもなく触れるでもなく
 
秋霞の様にただよい
 
あまねく生あるものに
 
ステンドグラスを通るひかり
 
この季節の全てを纏い訪れる

滲みてくる恋情を漏らさず
 
ときめきを恐れず
 
ときめきを人に知られず
 
ときめきを人に知らせず
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月十三日
 
 
  1. 2016/10/13(木) 10:25:49|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

秋薔薇

秋薔薇









想いを誰に届けるのか

夏の陽射しに耐えて

幾たびの嵐を越えて

少し秋めいた風に打ち明ける

あの蒼空に手を伸ばし

あの人に想いを届けてと

楚々とした明眸くもらせる

季節は今 九月も残り少なく

確実にこの想い いつ届くかと










これからしばらくは、UPをさぼっていた時に綴った詩を上掲していきます。
ご了承お願いいたします。

ashinoyukito

平成二十八年九月二十七日綴る
  1. 2016/10/13(木) 02:08:06|
  2. | コメント:0

秋の日

秋の日



 
 
秋の日は母の手のひらに似て
 
柔らかに僕を抱きしめる
 
どんなに小さなことだって
 
自分の事のように喜んでくれる
 
どんなに大きな悲しみでも
 
自分の事のように涙してくれる
 
 
秋の日は母の眼差しに似て
 
僕の乱暴な反抗期には 
 
戸惑いの眼差しして
 
おろおろするばかり
 
 
思い出すたびに胸が痛くなるけど
 
こんな秋の日はあれこれ考えず
 
公園のベンチに座るだけで良い
 
走り回る園児の声を聴きながら
 
母の小さな姿を思い出している



 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月十三日
  1. 2016/10/13(木) 01:58:57|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5

描きかけの絵

描きかけの絵




 
 
息を吹きかけると時間が舞い上がる
 
片隅に放置されたままの下塗り
 
筆使いは微かに当時を残している
 
少しずつ浮かんでくる輪郭
 
おかれた絵色はどちらともなく
 
悦びと悲しみが混じりあっている
 
 
この絵を仕上げるか
 
放置して朽ちるか
 
人知れず葬りさるか
 
記憶をたどるに色は血の様に鮮やか
 
幼稚な筆の跡が痛々しいくらい
 
時の流れに滲みてくる
 
 
仕上げて欲しい 描きかけの絵は訴える
 
今の色を捉えて埋めて行けばよいと
 
最後に一点 白をおいて
 
旅に果てる者の輝点とすればよいと




 
 
阜可 忠

平成二十八年十月十一日
  1. 2016/10/11(火) 08:40:22|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

雨上がり

雨上がり




 
 
朝焼けはやがて雨になる
 
子どもの頃にきいたとおり
 
雨が降り出した

 
昼から雨は上がった

痛む膝をおして家を出る

かみさんの声が背中を叩く

「傘もって歩いていきなさいよ

途中まで歩いて恨みごと言ってみる
 
「自転車にすればよかった」
 
 
お日様があかんべをして笑う
 
「お生憎様 都合よかあいかないよ」
 
僕は慌ててごめんなさいと謝る
 
本当は嬉しい雨上がりの午後
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月十日
 
 
 
 
  1. 2016/10/10(月) 01:23:22|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

朝焼けの街

朝焼けの街
 
 
橋まで歩くと朝焼けが近くなった
 
街を通り抜ける風が染まっている
 
口を開けて朝焼けを吸い込むと
 
これからの時間がそろり入ってくる
 
 
近くの雲は足早に通り過ぎていく
 
遠くの雲はのんびり湯あみする
  
どこかで見た事のある朝焼けの街 僕は

欄干に寄りかかり離れられないでいる
 
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月九日
 
  1. 2016/10/09(日) 06:39:11|
  2. 壺中の天
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

雨幻

雨幻




 
 
雨傘が二つ並んで信号を待っている
 
思いがけない光景に視界が狭くなる
 
 
大きなお嬢さんがいるんだ
 
二人の会話が聞こえるようで
 
雰囲気が君によく似ている


否や

千キロの距離をやってくるはずはない
 
まして時間を跨いで出逢うはずもない
 
 
秋の雨のスクリーンに落すまぼろし
 
古いフランス映画を見るようで
 
好きだったシャンソンが幽かに
 
遠くに聴こえてくる東京の雨
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年十月八日
  1. 2016/10/08(土) 14:46:15|
  2. 登美日抄
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
次のページ