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鏡に映して・分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

駿河湾

駿河湾




 
 
あの灯りはなんだろう
 
あのあたりと指さして
 
駿河湾の深くなるなるところ
 
ひといきに山が沈むところ
 
高足蟹の息がぽっかりわれて
 
堕ちた月を振るわせている



 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月三十日
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  1. 2016/09/30(金) 00:59:14|
  2. 壺中の天
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情愛

情愛









朝陽と共に君はこの世に生まれ

時間の微かな隙間に僕は生まれた

偶然にしては出来過ぎた話

当然のように出会い

理不尽過ぎる別れの理由

過ごした時間に何の意味があろう

出逢いと別れが人生の醍醐味と

嘯いてやり過ごせる訳もなく

情愛の深さ醜さ儚さを思い知る

これで良い これで良い

白い波が骨のように押し寄せる












ashinoyukito
  1. 2016/09/30(金) 00:41:10|
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日本橋雑感Ⅱ

日本橋雑感Ⅱ



 
 
ひどく疲れて帰ってきた
 
馴染むことが出来ない街の変容
 
季節を無視して照りつける太陽
 
背中を叩かれて足早に歩く人
 
 
書店の匂いに救われる
 
向かいの百貨店も昔のままだ
 
ショウウィンドウに貼り付けられた空
 
つば広帽子が蝶のように舞っている




hukatadashi

平成二十八年九月二十八日
  1. 2016/09/28(水) 09:08:58|
  2. 壺中の天
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日本橋雑感

日本橋雑感



 
 
頸が折れそうなくらいに上を見た
 
それでも届かない日本橋の空
 
四方八方囲まれた小さな空
 
痛々しいくらいに切り裂かれた空
 
慣れ親しんだ面影はなく

巨大な潮干狩りの貝探しのように

タワークレーンが空をかき混ぜる

私は異様に疲れて蒼ざめる街をでた





 
 
平成二十八年九月二十七日
  1. 2016/09/27(火) 21:51:31|
  2. 壺中の天
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紙の匂い

紙の匂い



 
 
書いていた手を止めた
 
頭の中の画像を止めて
 
窓のひかりを見やる
 
柔らかな秋の陽が外に誘う
 
こんな日は出かけてみよう
 
日本橋界隈をぶらぶらして
 
丸善で新しい本を開いてみよう
 
紙の匂いをたっぷりと呼吸しに




hukatadashi
 
平成二十八年九月二十七日
  1. 2016/09/27(火) 12:43:43|
  2. 壺中の天
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秋薔薇

秋薔薇







 
 
想いを誰に届けるのか
 
夏の陽射しに耐えて
 
幾たびの嵐を越えて
 
少し秋めいた風に打ち明ける
 
あの蒼空に手を伸ばし
 
あの人に想いを届けてと
 
楚々とした明眸くもらせる
 
季節は今 九月も残り少なく
 
確実にこの想い いつ届くかと
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月二十七日
 
 
 
 
 
 
  1. 2016/09/27(火) 08:15:11|
  2. 登美日抄
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遅れ彼岸

遅れ彼岸







 
 
また 雨か
 
晴れになったら行こう
 
行く前にあれやこれや理由を付ける
 
昨日はやっと晴れたのに忘れていた
 
気が付けば彼岸は過ぎている
 
昨夜はお墓の夢を見て目が覚めた
 
良し午前中に行こう
 
遅れ彼岸でも勘弁 親父お袋
 
花を供えに行くからね
 
バイクを出して準備している
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月二十六日
 
 
 
 
 
 
 
 
  1. 2016/09/26(月) 09:13:23|
  2. 壺中の天
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明日が来ることよりも
 
過ぎた時間に浸ることが多くなった
 
幾ら重ねてもうすっぺらな色が浮かんでくる
 
どれもこれも心の痛む色だ
 
真剣に自分の絵を描いて色を付けて来たか
 
否や否や否や頭の中を駆け回る 否や
 
否やの中に少しだけ光るもの
 
私に関わりのあった人がいる
 
其れで良いのではないか
 
何故生きるか 生きる意味を問う愚かさ
 
与えられた命を死ぬまで生きていくだけの事
 
ほかの命とめぐり逢うことが醍醐味
 
自分に何らかの色を重ねることが出来る
 
其れで良いのではないか
 
 
明日やってくる不確かな時間
 
重ね塗りされる過ぎた時間
 
唯それだけの事
 
 
平成二十八年九月二十五日
  1. 2016/09/25(日) 18:21:24|
  2. 壺中の天
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プライベート

プライベート


 
 
会場は木挽町のすし割烹
 
今は銀座と呼ぶべきか

今は築地と言うべきか
 
歴史ある街の名が消えて久しい
 
土地っ子は木挽町というだろう
 
 
門仲のプライベートという小さなお店
 
昔の仲間が集まって三十周年のお祝い
 
その宴席に一も二も無く出席 を決めた
 
 
早めに家を出て地下鉄をおりて歩く
 
黒塀の料亭に数人の日本髪
 
タクシーを降りて霧雨に蛇の目傘

交差点の角のカフェテラスに座ると

新橋演舞場が見える
 
人通りはまばら 街はしっとり濡れている
 
若い巡査が自転車で交差点を渡る
 
車のライトが雨のアスファルトに跳ね返る
 
珈琲を飲みながら過ぎていく時間を眺めていた

 
三十年・・・・ 感慨深いものがある
 
過ぎていった歳月が浮かんくる
 
此の店でひととめぐり逢い
 
助けられたこともある
 
ママの心配りに感謝している
 
色々な想いに胸が熱くなり涙が出そうになる 
 
 
此の店も代替わりして次の世代に
 
次の十年二十年そして三十年
 
止まり木にたくさんの夢を引き継いで
 
 
 
 
 
 
 
 
深川門前仲町
プライベートという小さなお店30周年祝記
 
阜可 忠
 
平成二十八年八月二十五日
 
 
 
 
 
 
  1. 2016/09/25(日) 08:53:43|
  2. 壺中の天
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追憶のワルツ

追憶のワルツ




 
 
こんな雨の夜は
 
独りを知らされる しみじみと
 
わたしの名を呼ぶ人がいる
 
逢いたかった逢いたかったと
 
夜に消えそうな声を抱きしめる
 
逢えるわけなど絶対ないのに
 
雨の中に佇むひとはまぼろし
 
 
あの日の時間に誘えば 揺れる髪
 
悲しそうに首を振るから
 
何も言わないで 何も言わない
 
一言も交わせるはずはないのに
 
あれからの事をきいてくる
 
言いたい事が山ほどあるのに
 
追憶の海に溺れて何も言えない
 
 
こんな雨の夜は
 
独りを知らされる 淋しいと
 
酔って酔ってもっと酔えば
 
変わらない胸を裂いて見せられる
 
幻でも誰でもいいから
 
わたしの詩を読んでくれないか
 
追憶の海に身を沈める前に
 
 
 
 
 
今夜はワルツで
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月二十三日
 
 
 
 
  1. 2016/09/23(金) 21:00:48|
  2. 登美日抄
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東京の雨

東京の雨



 
 
東京の街に降り続ける雨
 
熱気に焼けたビルの肌を滑る
 
眠りから解かれたようにすっと立つ
 
雨霞の向こうに息を吹き返す鉄塔
 
 
何時になく時がゆっくりと過ぎていく
 
交響曲に溶けて行く雨の音たち
 
追憶の海に誘う珈琲のかおり
 
これに似た情景が浮かんでは消え
 
 
東京の街に降り続ける雨
 
繁華街の夕べの嬌声を洗い流し
 
流されもせずに傘の影に身を寄せる
 
眼を閉じて夢の境目に堕ちてゆく 雨
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月二十二日
  1. 2016/09/22(木) 10:23:46|
  2. 登美日抄
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恋心

恋心





 
 
枯れない花がある
 
恋の歌きくたびに
 
花の中にあなたを見る想い
 
あなたの価値を打ち込まれ
 
あれからただ生きてきた

忘れるために薔薇を咲かせたり
 
忘れるために人とも会った
 
忘れるために旅もした
 
忘れるために学んだことも
 
何一つどこにも残っていない
 
あなたに勝る価値は見えなくて
 
望遠鏡を一天にむければ
 
いきつく星の群れに恋心ばかり
 
あなたに勝る価値は探せず
 
今では過ぎた日々を纏って
 
伝えられない言葉を探している
 
あなたの心を乱したい それは
 
季節  季節に描きとめる 恋心
 
 
 

hukatadashi


平成二十八年九月二十一日
  1. 2016/09/21(水) 09:52:16|
  2. 登美日抄
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だあれ

だあれ




 
 
秋を探す子だあれ
 
葉っぱを開いて覗いてる
 
柿さんそろそろ色つけて
 
ひよどりさんに話します
 
まだまだ渋いよ 食べちゃダメ
 
葉っぱが赤くなったらいらっしゃい
 
甘くなったらそっと知らせます
 
いたずらカラスが来る前に
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月二十一日
 
 
  1. 2016/09/21(水) 01:05:56|
  2. 壺中の天
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運河の秋

運河の秋




 
 
高い蒼穹が水面を深くする
 
運河の街に秋が落ちてくる
 
沙魚をつる人の一列に
 
冷やかしカラスが覗き込む
 
運河の街に来る秋は
 
ふらり雲に誘われて
 
櫓舟にまかせて揺れる空



 
 
阜可 忠

平成二十八年九月十九日
  1. 2016/09/19(月) 20:28:19|
  2. 壺中の天
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あなたのタンゴ

あなたのタンゴ



 
 
胸を反らせて踊る
 
ドレスの裾を翻して
 
黒揚羽の様に踊る
 
艶めかしく誘いながら
 
しなやかに踊るのは
 
あなただけのタンゴ
 
悩ましげに胸を反らせて
 
あなたは女を踊る
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月十八日
  1. 2016/09/18(日) 22:54:28|
  2. 壺中の天
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引き込み線

引き込み線




 
 
線路を辿れば東京湾に出る
 
麦わら帽子にランニングシャツ
 
むせ返る夏を歩く少年たち
 
線路わきの畑のトマトを食う
 
がりりと噛めば青臭い
 
トマト泥棒 入道雲がにらんでいた

 
少年の頃の僕たちは
 
海に石を投げたり 大声で叫んだり
 
長い貨車を数えたりして過ごした 
 
いまはガタギシあえぐ貨車はない
 
線路が手持ち無沙汰に横たわる
 
この引き込み線の先は東雲豊洲
 
近代ビルが空を噛み砕いている
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月十八日
  1. 2016/09/18(日) 01:19:29|
  2. 壺中の天
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黄色い月

黄色い月


 
 
薄い雲に薄化粧して
 
日にち遅れの名月
 
黄色い顔ですまなそう
 
諦めかけていたあなたの姿
 
愁いを含んだ眼差し
 
私は物干しに腰をおろして
 
君と酌む焼酎のロック
 
黄色い月を浮かべてゆるりと
 
ゆるりと君の空に酔う
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月十七日
 
 
 
 
 
  1. 2016/09/17(土) 20:26:44|
  2. 壺中の天
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見えぬ月

見えぬ月




 
 
こころばかりの秋を飾って
 
名月を待つ身の哀れ
 
雲間に隠れて出てこぬか
 
話の一つもきいとくれ
 
こころの荷物を解きながら
 
ひとひらふたひら言の葉を
 
見えぬ月に想いよ届けと



 
 
阜可 忠
平成二十八年九月十六日
  1. 2016/09/16(金) 08:56:04|
  2. 壺中の天
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さよなら

さよなら



 
 
二日続きの雨は上がった
 
窓を開けて空を見る
 
白い雲と流れてみたら
 
こころがスっと軽くなる
 
そらの中をふんわりと
 
ほらほら僕は雲の舟
 
地上の君に手を振るよ
 
さよなら言って手を振るよ
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月十四日
  1. 2016/09/14(水) 00:01:56|
  2. 登美日抄
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峠の灯り

峠の灯り



 
 
何処から来なさった
 
ほう 峠を越えてのう
 
難儀なさいましたなあ 
 
とにかく入りなされ
 
さあ遠慮はいらんからのう

 
引き戸から灯りが転がってきた
 
私は蓑を外して土間に入る
 
難所続きの峠を越えて
 
まして横殴りの雨の中
 
この家の灯りの有りがたく
 
主の情けが身に染みる
 
囲炉裏の小枝が燃え上がる
 
親父の優しさに堪えた涙
 
汁に零れて塩辛く
 
 
誰の世話にもならねえ
 
啖呵を切って生きてきた
 
意地も誇りも流し去る
 
峠の雨は屋根を射して降りつける
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月十三日
 
 
  1. 2016/09/13(火) 16:13:09|
  2. 壺中の天
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虫奏曲

虫奏曲



 
 
秋の宵は雨あがり 
 
静寂にちろころちろころ
 
人恋し恋しと沁みてくる
 
一生に一度のめぐり逢い
 
なんで忘れられよう主の音
 
ちろころちろころ呼ぶ声は
 
こころを揺らす鈴の音



 
 
阜可 忠

平成二十八年九月十一日
  1. 2016/09/13(火) 01:33:13|
  2. 壺中の天
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秋香

秋香



 
 
二日も経てば書きたくなる
 
切り裂いて棄てた訳でなく
 
自分に我儘を許しただけ
 
 
二日もすれば書きたくなる
 
こころに少しお洒落して
 
風の囁きに秋香を訪ねる

 
 
 
阜可 忠

平成二十八年九月十二日
  1. 2016/09/12(月) 05:25:41|
  2. 壺中の天
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トランペット

トランペット


 
 
哀しい音がするわ
 
逝った人に届くような
 
 
美しい所作で踊りながら
 
悲しい音だわ あなたは言う
 
そういえば暗い星雲に滲みて
 
消えて行きそうで消えない音


 
 
阜可 忠

平成二十八年九月十一日
  1. 2016/09/11(日) 22:57:40|
  2. 壺中の天
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墓名詩

墓名詩




 
 
おちてくる言葉などなく
 
弱さも哀しさも
 
悦びも楽しさも
 
撹拌して沈殿させるもの
 
知的な好奇心のなぞ解き
 
可能な限り反芻して
 
さり気なく人生を飾ろうとする
 
自分のイメージを作り上げる
 
それが一篇の詩であれば 
 
読む人の批判を恐れる事無く
 
ただ墓名詩とするためだけに
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月九日
  1. 2016/09/11(日) 19:33:50|
  2. 壺中の天
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幼い魔女

幼い魔女




 
 
魔女というには幼い子
  
灰色のマントに朝陽を抱く
 
魔法の箒をどこに忘れたか
  
朝焼けの街を探して歩く
 
心配カラスが覗き込む
 
羽を使って髪を梳いている
  
歯ブラシは小鳥のふわふわ羽毛
  
露のひかりを掬っては集めて
 
前髪を濡らしたり ぶくぶくしたり
  
 
さてこちらは黒い森
  
母さん魔女が水晶玉に手をかざす
  
露をすする幼い我が子が見える
 
灰色マントに魔法の糸をかけ
  
刺し網のように引き上げる
  
幼い魔女の初めての独り旅
 
楽しかったこと面白かったこと
 
怖かったこと などなどなど
 
母さんのマントに包まれて
 
いつしか夢の中に溶けていく
 
 
 
 
 
 
 
 
タイトルなど変更加筆のうえ 再掲致しました。 
 
阜可 忠
  
平成二十八年九月十一日
 
 
 
 
  1. 2016/09/11(日) 19:29:56|
  2. 壺中の天
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おしらせ。

おしらせ。
 
 
少しお休みします。
 
九月七日に上掲の「明け方の子魔女」を取り下げます。
 
多数の方にナイスを頂き心苦しいのですが、
ご了承お願いいたします。
 
 
以上宜しくお願い致します。
 
 
                   阜可忠
 
 
平成二十八年九月八日
 
  1. 2016/09/08(木) 10:14:20|
  2. 壺中の天
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名簿

名簿




 
 
戻されてきた葉書
 
赤いスタンプのあて先不明
 
何処かで元気でいるのかなあ
 
移転先も知らせず行ったやつ
 
あれから何年たっただろう
 
栗くり坊主の顔のまま
 
おかっぱ頭やおさげ髪
 
あのときの姿そのままに

小さな癖も覚えてる
 
あれからどうしているだろうか

 
名前の上にチェックをいれて
 
一人ひとりと話をする
 
白髪にならず禿もせず昔のまま
 
あれからの事を訊いてくる
 
私の頭を指差して笑い転げる
 
「歳を取ったなあ」と言って
 
 
相変わらず私は名簿の整理
 
二本線で消せない君達の名前
 
彼の岸に旅だったとしても
 
来年もその次も名簿に残しておく
 
君達は小さな声で詫びている
 
「すまないなあ」と言って

「ありがとう」と言って
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月六日
 
  1. 2016/09/06(火) 14:08:22|
  2. 壺中の天
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夜と朝と

夜と朝と





 
 
夜を黒く塗り過ぎたから
 
ゆっくりと朝の色が来る
 
一粒のひかりが蛍の様に来て
 
夜と朝を微かに分けていく
 
生する者たちが露から出でて
 
シンフォニーが尊大に始まる
 
わたしは少しずつ息を整えて
 
文字を探して色を点していく
 
 
 
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月五日
 
 
 
  1. 2016/09/05(月) 07:01:47|
  2. 壺中の天
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分水嶺

分水嶺


 
 
君につながる旅は
 
空路であれ 
 
鉄路であれ 
 
海路であれ
 
情けない徒歩であれ
 
何時も崖っぷちの雲海に阻まれる
 
 
君につながる空は
 
君につながる大地は 
 
君につながる海は
 
躊躇する理性に途切れている
 
ほろびゆく勇気はなく
 
魂のみ切り刻んで
 
分水嶺を右に左に落してみる
 
 
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月四日
 
 
  1. 2016/09/04(日) 11:05:44|
  2. 壺中の天
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そら

そら



 
 
雨の墜ちてこないうちに旅に出る
 
数えるほどの時間を懐に入れて
 
予定の無い旅に出る
 
八ヶ岳を遠く近くゆく
 
 
稜線をたどれば指先が碧くなる
 
「阿蘇の空に似ている」君は掴もうとする
 
逆光が髪を解いて煌めいている 
 
君の故郷の空は丸くて大きい
 
私は小さな四角い都会の空を見ていた
 
不細工に纏まった小さな空
 
それでも掛け替えのない私の空だ
 
 
旅に出た筈なのにこの蒼空に抱かれてしまう
 
私に似合うのは此処
 
数えるほどの時間を君の為に
 
 
 
阜可 忠
 
平成二十八年九月四日
  1. 2016/09/04(日) 08:23:16|
  2. 壺中の天
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