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鏡に映して・分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

くちびる  K61

              くちびる





             春の宵は薄明かり

             装い凝らして

             遠慮がちに重ねる

             出逢に指を触れあわせ

             この一瞬有ればこそ

             不思議な時のつながり

             春の宵に君を確かめんと

             匂いとどめるひととき







                   阜可 忠

           平成二十三年四月三十日(土)

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  1. 2011/04/30(土) 20:48:20|
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苔の洞門  K60

            苔の洞門






           苔の洞門に春をつげる風

           最後の闇がするりと脱げる

           緑青を塗込めた苔の壁

           昨夜の雨が色を深くする


           今は獣道になった川底

           大きな肉球が足音を消す

           支配されざるもの

           畏怖を持って呼ばれるもの


           隆とした肩を支える太い足

           しなやかに波を打つ背中

           苔の洞門を悠然と抜けていく

           狩り場の匂いを追って




                       阜可 忠

              平成二十三年四月二十九日(金)

  1. 2011/04/29(金) 21:26:49|
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咲く前の花 K59

            咲く前の花





            咲く前の花が好き

            季節を慈しみ包むような

            咲く前の花が好き

            ひみつを指先で隠しながら
  
            愛して欲しいと言う

            咲く前の花に似る


            咲く前の花が好き

            北国に咲こうとする

            雪から生まれた辛夷

            祈るような白もくれん

            季節を慈しみ包み込む

            咲く前の花に手を伸べる









                       阜可 忠

              平成二十三年四月二十八日(木)

  1. 2011/04/28(木) 01:59:03|
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えびね  K58

             えびね









           密やかに咲いている

           俯いてことばすくなに

           泥染のように心に沁みる


           伊豆の里を離れ

           わたしの小さな庭

           涙をこぼすように咲く

           人の名前にあるような

           通り過ぎる懐かしい匂い

           えびねの花の音がする






                    阜可 忠


          平成二十三年四月二十八日(木)

               

  1. 2011/04/28(木) 01:30:34|
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不吉な予感  K57

             不吉な予感





 



            目覚めると不吉な風向き

            女王の黒マント月を透かす

            雲をよせて攪拌する            

            哀しみを混ぜて

            闇の空にばらまいている

            風に舞い上がる予感

            心臓が空しさを数える

            怯えた脳が思考を止める







                            阜可 忠


                   平成二十三年四月二十七日(水)

  1. 2011/04/27(水) 07:17:57|
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わたし  K56

            わたし





           わたしのなかのわたし

           何とかなるさとわらう

           あのときもあのときも

           無理にわらって耐えた

           失意の底に足踏みさせて

           ひかりの糸を紡いでいた


           わたしのなかのわたし

           出口のない自己嫌悪

           時の過ぎ去るを信じ

           季節を感じたよろこび

           レンゲ畑の土の匂い

           抱きしめてわたしにいれた







                     阜可 忠

            平成二十三年四月二十六日(火)

  1. 2011/04/26(火) 01:54:46|
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墨いろの花 K55

            墨いろの花







           墨いろはなびら色無し蕾

           暗い池のふちかざり

           願いは虹色にはなびらそめて

           何時か咲きたい池のほとり


           遠い昔の春の野に

           レンゲ色した山がすみ

           池におとした髪飾り

           溶かしてわすれた花の色


           墨いろはなびら色たどり

           好みの色に染め抜いて

           蝶の羽を誘おうか

           貴女の胸にとまろうか






                    阜可 忠

           平成二十三年四月二十五日(月)

  1. 2011/04/25(月) 14:27:56|
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駅舎  K54

 
             駅舎






           下り列車を待っている

           前照灯に雪が降り注ぐ

           暗がりに潜む影がうかぶ

           スッポトライトを浴びて

           闇に小枝が動き出す


           降りてくる人の群れ

           胸に抱いた物語り

           駅舎の大きな窓ガラス

           薄オレンジの洩れあかり

           留める想い貼り付けて





                      阜可 忠


             平成二十三年四月二十四日(日)

  1. 2011/04/24(日) 07:55:40|
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移ろう時 K53

             移ろう時






           寂しいものは花の賑わい

           浮かれぼんぼりそぼ濡れる

           うちひしがれて言葉震えて


           知らなければ済んだもの

           至高の喜び慌ただしく

           時の階段に沈んでいく


           季節の色がわり浸みわたり

           移ろう時を惜しむ

           雲母の箔のように瘡なりて


                  (瘡ーかさ)





        
                    阜可 忠

          平成二十三年四月二十二日(金)

            

  1. 2011/04/22(金) 08:56:26|
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帽子  K052

            帽子




           帽子に白い羽


           
           舞う様に



           天から降りてきて



           街中の春を連れ歩く









                  阜可 忠

         平成二十三年四月二十二日(金)

  1. 2011/04/22(金) 03:04:06|
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古都に  K051

             古都に






           おもむろに目を開く

           仕合せが見えてくる

           遠い昔が一つ消えて

           新しい時間が始まる


           ありがとう目覚め

           窓から若葉が覗き込む

           少しだけ昨日をかえて

           波の音を聴きに行こう


           有り難う目覚め

           手を差し出すひかり

           少しだけ今日をかえて

           古都に季節を分けて貰いに






                    阜可 忠

          平成二十三年四月二十一日(木)

  1. 2011/04/21(木) 06:30:16|
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陽炎  K050

           陽炎




         かばしら立ち

         陽炎に揺れて

         ゆすりかの恋柱

         公園の川沿いの径


         水面の花の陽炎

         波の紋 重ね合って

         二羽のかるがも

         くちばしに花の色








                    阜可 忠

            平成二十三年四月二十日(水)

  1. 2011/04/20(水) 20:30:50|
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かざぐるま K049

           かざぐるま




          春の風うまれて

          語りかけるかざぐるま

          ひとの世の流転

          からからと回る

          夢のなかのかざぐるま


          息を吹きかけるくちびる

          掴み損ねた明日の今

          想いばかりが空回りする

          あの甘い風 何処に流れて

          囁き回す誰のかざぐるま









                     阜可 忠

            平成二十三年四月十九日(火)

  1. 2011/04/19(火) 22:29:31|
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花流し K048

           花流し




          花をちらす桜風

          好きになりすぎて

          よりそいて洩らす吐息
   
          触れてみたい花の彩


          花をちらす桜雨

          好きになりすぎて

          朽ちる前に彩そめる

          君を愛しむ花流し








                  阜可 忠


         平成二十三年四月十九日(火)

  1. 2011/04/19(火) 06:18:51|
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断層  K047

           断層



          うかがい知れない深い海

          蛇のようにのたうち回る

          千年の時も一瞬

          幾多の涙が降り積もり

          海溝を埋めていく


                       阜可 忠

               平成二十三年四月十八日(月)

  1. 2011/04/18(月) 06:33:28|
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更に高く K046

           更に高く



          更に高きを目指す

          エベレストの更に奥

          伝説に守られた秘峰

          雪雲に隠れそそり立つ岩壁

          氷の裂け目にハーケン

          一つ打ち二つ打つ

          澄んだ音こだまして         

          未踏の峰をゆらす

          ザイルの相棒がいればこそ
          
          更に高きをもとめて




                   
                ブログの新しき1年を迎えて


                         阜可 忠

                平成二十三年四月十七日(日)
 

  1. 2011/04/17(日) 20:07:21|
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鯵の開き K045

           鯵の開き




        鯵のひらきはいいなあ

        骨までみせてさっぱりだ

        心のそこまで晒してる

        掴みだせたら解るのに

        言葉がいつも邪魔をする

        見えない道に誘い込む
        
 
        鯵のように全てを見せたい

        本当が見えてくるのに






                   阜可 忠


            平成二十三年四月十七日(日)

  1. 2011/04/17(日) 09:23:49|
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パイプ  K044

           パイプ




          壁の前に立ちつくす

          重い空気が割れるおと

          腰のハーケンとカラビナ          

          乾いたハンマーの音

          登攀をこばむ岩の棚

          磨いたパイプで雲を吐く






                    阜可 忠

           平成二十三年四月十七日(日)

  1. 2011/04/17(日) 06:17:12|
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すずめ  K043

         すずめ



       なかよしすずめ屋根のうえ

       戯れ高じて転がり落ちる

       蹴爪をたてて飛びかかる

       血で染まった赤い爪

       羽に刺さって抜けた爪

       なかよしすずめ屋根のした

       けんかの仲裁かあさんすずめ

       若いカラスが狙ってる

       早く上がっておいでなさい

       なかよしすずめ仲直り

       なかよしすずめ屋根のうえ





                    阜可 忠

             平成二十三年四月十六日(土)

  1. 2011/04/17(日) 00:26:32|
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珈琲の時 K042

            珈琲の時




          目を閉じると眠りに堕ちる

          椅子の軋みに薄目を明ける

          珈琲が小さな部屋に溶けている

          そんな懐かしい朝の始まり


          シャンソンが流れている

          湯気の向こうの聞えない声

          三人の若いむすめ達

          ルージュを溶く昼やすみ


          集めたはなびらを競い

          恋をうらない指さして笑う

          灯りに透かして明日をみる

          シャンソンが珈琲に溶けるとき
  



                       阜可 忠

              平成二十三年四月十六日(土)

  1. 2011/04/16(土) 07:10:49|
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耳鳴り  K041

           耳鳴り



         夜明け前の半いろ

         染まる前の時間

         詩作の穏やかな始まり

         尋ねる小鳥の声はなく

         微かに耳鳴りする

         ビブラートは妖精

         静かな声で歌えと


                   阜可 忠

          平成二十三年四月十六日(土)

  1. 2011/04/16(土) 06:35:34|
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馬酔木  K40

           馬酔木
 



         妖精のおそろいの白い袖

         まあるい日の光 花よりいずる

         うすい月 天上より手を差し伸べ

         馬酔木の花に戯れる


         微かな風に白い袖揺らし

         馬酔木の花の音こぼれ

         妖精達賑やかにつどい

         羽をぬらして蜜壺を抱えて踊る






                  
                  
                         阜可 忠

                 平成二十三年四月十五日(金)

  1. 2011/04/15(金) 09:38:24|
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誕生日御礼

このブログが誕生してから、2度目の誕生日を迎えます。

これも皆様の応援のお陰と、この場を借り御礼申し上げます。

軽い気持で即興詩を好き勝手にUPして始まり、

何時か2年が過ぎ。1000編をこえました。

才能に対する疑問に挫けそうになったこともあります。

その度に暖かい励ましの言葉をいただき此所までやって参りました。

今では、白い紙に黒い文字でイメージを固定し、

イメージに色を与え動きを与えられたらと想っています。

このモノクロな私のブログに来て下さって、

お読み下さるかたに御礼は勿論、敬愛の念を覚える今日この頃。

今後も温かく見守り、ご批判励ましの言葉を下されたくお願いいたします。


                 平成23年4月14日  阜可 忠 拝

  1. 2011/04/14(木) 20:23:00|
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漆黒の翼 K39

     漆黒の翼





           しゃりっと瞳をなめる

           瞼が静かに開いた         

           漆黒の翼が海を呼ぶ

           血は留まることを忘れ

           ひと息に吹き出した

           闇をながす様に泣いた           


    
           漆黒の翼が光を包み込む

           企みの舌が大地をなめる        

           逃れる術はないその時

           木々が手のように震え

           虚空を掴もうともがく

           細い月が歪んで泣いた

                    





                      阜可 忠

              平成二十三年四月十三日(水)

  1. 2011/04/14(木) 08:28:29|
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迷いの海 K38

          迷いの海




         人を思いやる心

         野辺にさく名も知らぬ花

         荒れた大地に色を墜としていく


         人の心の残酷さ

         胡蝶の舞うを捉え

         羽をむしり荒れ野に放つ


         解ることのないその深遠

         辿り着けば更に奈落の底へ

         細い管で天上を求めている


         愛と背中合せの憎しみを満たし

         自ず身を沈める迷いの海

         混沌として黒くよどむ







                     阜可 忠

            平成二十三年四月十二日(火)

  1. 2011/04/12(火) 11:51:36|
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父の時計 K37

      父の時計

                  東日本大震災から1ヶ月


     何もかも失った

     刻まれた皺が震えている

     背中を丸めてあるいている


     怯える少年の瞳よ

     曇り空を映すな

     しかと見開き

     父の目を覗いて見よ

     時計になった大きな目を


     震災に止まった時計

     動いて明日を知らせよ

     婆は爺の海を見ている

     涙が海を深くしている


     少年の瞳に父の時計が動いている

     刻む音を信じろと教えている




                   阜可 忠

           平成二十三年四月十一日(月)

  1. 2011/04/11(月) 08:34:54|
  2. 紡ぐ時
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春を探して K36

       春を探して







      碧い海は冷たかろう

      千切れた腕は寂しかろう

      裂かれた心は痛かろう


      春を探して少女はあるく

      耳の後ろのおさげ髪

      母の温もりとめるひも


      春を探して少女はあるく

      冷たい風に目を閉じる

      裂かれた心に潮の花


      爺をのんだ黒い波

      陸に上がった漁船の屍

      春を探して少女はあるく


                    阜可 忠

            平成二十三年四月十日(日)

  1. 2011/04/10(日) 07:40:44|
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蜂鳥 (繚意)K35

          蜂鳥 (繚意)



 

        花に繚意のかぜ

        ひとしきり吹き

        花は風を染め

        風は花にひかり

        蜂鳥のはねおと

        花さいてこそ

        繚意のかぜ

        散らすまいとて

        花に囁き続ける

        咲いていて欲しいと


                  阜可 忠


        平成二十三年四月八日(金)

  1. 2011/04/08(金) 22:58:48|
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こころK034

       こころ



      こころ繕えぬまま

      意味のないことば

      全て水泡と化して

      咲かせる華の実体のなさ

      薄ガラスはなびらに砕け

      血で綴るおもいして

      合わせる謝りの言葉                  




                  阜可 忠


            平成二十三年四月八日(金)

  1. 2011/04/08(金) 21:52:19|
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挫けないでK033

           挫けないで




          挫けないで風が言う

          瓦礫と化した家の在りし跡

          背を丸め眼鏡が泣いている

          小枝の先で想い出を集めている


          挫けないで風が囁く
  
          花姿見えずはるか彼方

          埋めるには大きすぎる空洞

          だからこそ贈りたい桜いろ


                      阜可 忠

              平成二十三年四月八日(金)

  1. 2011/04/08(金) 10:40:58|
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