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分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

秋の扉

秋の扉


肌を焼いた激しい恋も

さすがに影を優しくして

時を知り秋の扉が開かれる

恥ずかし気に息を吹く

日本橋を渡る風

ビルの間の蒼穹を高くする

秋の扉がまた少し



阜可 忠

令和五年九月二十六日
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  1. 2023/09/26(火) 09:06:07|
  2. | コメント:0

不完全主義

不完全主義


宣言するまでもない

生まれてこの方ずーと

不完全主義者ここにある

今日できなければ明日やればよい

明日することは明日やればよい

出来なくても悔やまない

できる奴を尊敬しても羨まない



阜可 忠

令和五年九月十七日



  1. 2023/09/17(日) 19:51:10|
  2. | コメント:4

向日葵

向日葵


向日葵が咲いている

学校裏の小さな花壇

歩道にあふれて咲いている

青い空も遠くの入道雲も

ふらふらと飛ぶ揚羽蝶も

張り付く太陽の唇さえも

向日葵をたたえているようだ

僕はオデコに汗を噴き出しながら

杖に体を預けて歩いている



阜可 忠

令和五年八月二十七日
  1. 2023/08/27(日) 12:03:43|
  2. | コメント:2

深夜放送から

深夜放送から



寝付かれず悶々として

ふとスイッチを入れる

聞こえてきたのは深夜放送

永い間 探していた歌が流れてきた

ある大学の山岳部歌と初めて知った

時間が一気に昔に戻る

鮮明に蘇る記憶


台風前夜 八ヶ岳は登山禁止

行者小屋に足止めされた若者たち

学生やら会社員やら

単独山行者十五名あまり

燃え上がる炎を囲んで歌う山の歌

肩を組んで歌う山の歌

誇らしげに輝いていただろう青春


今は年を重ね

しみじみと聴く深夜放送 山の歌



阜可 忠

令和五年七月九日



 



  1. 2023/07/09(日) 21:49:03|
  2. | コメント:0

或る女優の恋

或る女優の恋



女優であることで矢が刺さる

その恋は野次馬の目にさらされる

次から次へと垂れ流される憶測

擁護論は傘をつぼめている

お前が悪い すべてお前たちが

自分の心には触れず

醜い剣で腹を抉り出す

正義は我にありとばかりに

とまれ

恋はきわめて個人的な事

先の見えない恋の行き先

滅びるとも良しとする覚悟

覚悟の他に何もなければ

誰がどう言おうと抗するは無駄な事

人の世にあって特別珍しいとも言えず




阜可 忠

令和五年七月朔日
  1. 2023/07/01(土) 08:54:14|
  2. | コメント:0
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